【vol.50】マイナーキーことはじめ ~その2~ CメジャーとAマイナーは平行調
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こんにちは、大沼です。
前回(vol.49)から、マイナーキーの内容に入っていきましたね。
まずは、マイナーキーのそもそもの概念として、ナチュラルマイナースケールや、マイナーキー時のダイアトニックコードについて学びました。
それらを踏まえた上で、今回の内容は、以前からたまーに出てきていた、
『あるメジャーキーと、あるマイナーキーの関係性』
に、ついてです。
両者に関係性がある事は、なんとなく知っているかと思いますが、そろそろ詳しくやっておきましょう。
この辺りがちゃんと理解できると、これまで覚えてきた、メジャーキー時のスケールやら、コードやら、インターバルの位置関係やらが、そのままマイナーキーの楽曲で使えます。
キーワードは、
『ずらして考える』
です。
タイトルにもあるように、例としては、いつものように、CメジャーとAマイナーの両者で見ていきます。
ではまず、前回のテキストに、
・CメジャースケールとAナチュラルマイナースケールの構成音は同じ
・CメジャーキーとAマイナーキーのダイアトニックコードは(出てくるものは)同じ
と言う内容がありましたね。
単純に考えて、C、D、E、F、G、A、B(ドレミファソラシ)の7音を使って、
・C音から始めた(tonicに見た)、C、D、E、F、G、A、Bと言う音階ならば、それはCメジャースケール
・A音から始めた(tonicに見た)、A、B、C、D、E、F、Gと言う音階ならば、それはAナチュラルマイナースケール
と、この様に捉える事もできます。
しかし、ずっとこの講座でお話ししてきたように、音楽理論、楽典を学ぶ上で重要なのは、
『(基本的には)インターバルで理解、把握していること』
なのです。
『メジャースケール』とは、
トニックから、全、全、半、全、全、全、半の間隔、要するに、tonic、M2nd、M3rd、P4th、P5th、M6th、M7thのインターバルで構成された音階
ですし、
『ナチュラルマイナースケール』とは、
トニックから、全、半、全、全、半、全、全の間隔、要するに、tonic、M2nd、m3rd、P4th、P5th、m6th、m7thのインターバルで構成された音階
の事を指します。
これらを丸覚えして「ぜん、ぜん、はん~」とか、口でパッと言えなくても構いませんが、ギターの指板上では、ちょっと考えたら、それぞれのスケールを弾けたり、各音のインターバルを、ゆっくりでも良いので言えるくらいにはなっておきましょう。
スケール(と言うか楽典の概念)はインターバルで把握する、と言う事がわかっていないと、
先程の、
・C音から始めた、C、D、E、F、G、A、Bと言う音階ならば、 それはCメジャースケール
と、言った様な知識から、
『じゃあ、ドレミファソラシ(ド)の7音を、ミ(E音)から始めたら、それはEメジャースケールなの?』
みたいな、理解のズレが起こる可能性があります。
(※Eメジャースケールの構成音はE、F♯、G♯、A、B、C♯、D♯になりますよね?)
では、前置きはここまでにして、本題に入っていきましょう。
もう耳タコなくらい書いていますが、
・CメジャースケールとAナチュラルマイナースケールの構成音
・CキーとAマイナーキーのダイアトニックコード
は、それぞれ(出てくるものは)まったく同じなわけです。
で、この両者と同じような関係性が、残りの全ての音(12音階の12音)を基準にした、各keyとそれに対応するスケールにもあります。
要するに、
『構成音が全て一致する、メジャー、マイナーのkeyが1つ(1組)ずつある』
と、言う事ですね。
そのような関係性を持つ2つのkeyを、
『平行調(へいこうちょう)』
と、呼びます。
(※もしくは「両者は平行調の関係にある」みたいな表現をします)
Cキーの平行調はAmキーですし、Amキーの平行調はCキーです。
この、(構成音がまったく同じである、という所から来る)『平行』な関係性を、まずは捉えてください。
単純に、CDEFGABの7音をひたすら並べて、
C、D、E、F、G、A、B、C、D、E、F、G、A~~
・C音を基準にして他の音との関係性を見るとCメジャースケール
・A音を基準にして他の音との関係性を見るとAナチュラルマイナースケール
と、この様な感じになりますよね。
(※ここではCメジャーが赤字のCから緑字のCまで、Aナチュラルマイナーが緑字のAから青字のAまで、の様に表記)
『平行調』と言う言葉の「平行」に関しては、上の様なイメージを持つと良いかもしれません。
英語では、relative (リラティブorレラティブ、「相対的な」の意)と言う単語を使って、『relative key(リラティブ・キー)』と呼ばれます。
なので先程の、日本語での平行調の時と同じ様に、Cキーのリラティブ・キー はAmキーで、Amキーのリラティブ・キーはCキーです。
これらの事から、
『CキーとAmキーはリラティブな関係性(相対的な、平行な、平行調としての関係性)にある』
と、言い表すことができますね。
で、私事で申し訳ないのですが、僕はこれらを最初に覚えたときに、英語の「リラティブ」の方で覚えたので、今後の講座では、日本語の「平行調」ではなく、「リラティブ」の方が、解説で多く出てくる可能性が高いです。
極力、わかりやすいように使い分けていくつもりですが、もし「リラティブ」に偏ってきたら、「ああ、平行調(とそれに付随する関係性)のことね」と、思ってください。
話が逸れました。
さて、ここまで来たら、もう1つ、単語とその概念を覚えてしまいましょう。
普通の楽曲は、メジャーキーかマイナーキーの、どちらかに設定されて作られるわけですが、基本的なアレンジ手法として、『楽曲内のどこかで、平行調に転調する』と言うような状況があります。
例えば、曲のスタートからAメロ、BメロまではCメジャーキー的な明るい感じだけど、サビからはAmキー的に暗い雰囲気になる、と言ったような感じです。
(※もしくはその逆パターンとかもあります)
この手法は、正確に言うと、「転調」というよりは、『キーセンターを構成音の中で移動させている』という表現が一番近い様な気がしますが、一般的な実用レベルでは、CメジャーキーからAmキーに「平行調への転調(みたいなこと)をしている」くらいの解釈で十分です。
この様な場合や、もっと言ってしまえば、最初にメジャー、マイナーのどちらのキーで考えていても、その(元の)キーを把握すると同時に、平行調のキーも把握しているのがベストなのです。
(※例えば、Cキーの曲を弾いていたら、同時にその曲をAmキーの観点からも見れること)
これは、すぐには難しいと思いますが、リラティブ・キーの相互の関連性がわかっていると、バッキング、リードプレイのどちらにも新しいアイディアが生まれやすくなるので、少しずつ慣れていきましょう。
(※なぜ新しいアイディアが生まれやすくなるのか?は、やっていけばわかります)
で、そのリラティブな関係性を表す言葉として、
・リラティブ・メジャー(Relative Major )
・リラティブ・マイナー(Relative Minor)
と言うものがあります。
これは意味としては、先ほどの平行調(リラティブ・キー)とほぼ同じなのですが、メジャー、マイナーのどちらかを基準とした時、もう片方の、対になっているキーやスケールを指す時に使います。
具体的な例をあげると、
・『Cキーに対するリラティブ・マイナーはAmキー』
・『Cメジャースケールに対するリラティブ・マイナー(のスケール)は、Aナチュラルマイナースケール』
・『Amキーに対するリラティブ・メジャーはCキー』
・『Aナチュラルマイナースケールに対するリラティブ・メジャー(のスケール)は、Cメジャースケール』
と、こんな感じで使います。
最初に基準に考えているものが、メジャーのキーやスケールならば、反対の(平行調の)『リラティブ・マイナーは○○』
最初に基準に考えているものが、マイナーのキーやスケールならば、反対の(平行調の)『リラティブ・メジャーは○○』
と、この様に考えるのですね。
この、リラティブの関係性に慣れてくると、例えば、Emキーの曲を弾きながら、同時に、Gキー的にも、コード進行を捉えていたりします。(※この2つはリラティブな関係ですよね)
先ほど「リラティブ・キーに慣れるとアイディアが生まれやすくなる」と言いましたが、この様な状態になっていると、Emキーの曲の中で、Gキーの曲で学んだフレーズやアイディアが活かせることがあるのです。
なぜなら、EmキーとGキーの両キーは、基本的な構成音がまったく同じキーなので、どちらで、どちらのアイディアを使ってもOKな(可能性がある)わけです。
(※もちろん、全てのプレイが100%そのまま使えるわけではありません。その時々によります。)
こういった、実際のプレイやアレンジに大きく関わってくる概念なので、今回、詳しく取り上げているのですね。
では、理屈はこの辺りまでにしておいて、最後に、リラティブ・キーに相当する両者の関係を、ギターの指板上ではどの様に見るのか?それをやっていきましょう。
まず、一番わかりやすいのが、ペンタトニックスケールのフォームを元に、リラティブ・キーのトーナル・センターの位置を見る方法です。
例えばCキーを基準にしていた場合、リラティブ・マイナーであるAmキーのトーナル・センター、A音はこの位置になります。
図、Cメジャーペンタ& Amペンタの重要ポジションに見る、リラティブ・キーのトーナル・センター
Cキーの楽曲を演奏していて、Cキーのトーナル・センターであるC音が、6弦8フレットにあることがわかっている場合、リラティブ・マイナーのAmキーのトーナル・センター、A音はこの位置になります。
逆にAmキーのトーナル・センターであるA音から見たら、リラティブ・メジャーのトーナル・センターであるC音はこの位置にある、と言う事ですね。
CキーとAmキーのトーナル・センター(≒スケールのトニック)をインターバル的に見るならば、
・メジャーキー側から見ると、トニックである、C音の長6度上の音(tonicから見てM6thにあたる音)が、リラティブ・マイナーのトニックで、
・マイナーキー側から見ると、トニックである、A音の短3度上の音(tonicから見てm3rdにあたる音)が、リラティブ・メジャーのトニックになります。
これについては、「CからみたAはM6thの距離」とした場合、対象(A音)を上の音程に見ていますが、逆に、Cから低い方にAを見ると、距離的にはm3rd(全音半、ギター的には3フレットの距離)となりますよね。
この、インターバルを逆方向に見れる(数えられる)ことも、実は結構重要なのですが、とりあえず最初は、対象を上(音程として高い方)に見る数え方で覚えていきましょう。
一度に覚えるのは大変ですので。
さて、上記の図は、6、5弦にそれぞれのトーナルセンターを置いた場合のものですが、実際は、こういった位置関係は全ての弦で見ることができますよね。
これらを覚えていれば、他の弦とのインターバルの位置関係は、色々練習している内に自然と見えるようになってきますので。
過去のテキストでやった、インターバル把握のトレーニングや、コードの構造などを参考に色々考えていくと、スムーズに理解が進むでしょう。
さて、色々と解説してきましたが、結局、実際のプレイの中で特に重要になってくるのは、最初に設定された楽曲のキーから見た場合の、リラティブ・メジャーorマイナーのトーナル・センター(or トニック)の位置をすぐに把握できる事です。
要するに、
・メジャーキーのトーナル・センター(トニック)から見た、リラティブ・マイナーのトーナル・センターとその位置
・マイナーキーのトーナル・センター(トニック)から見た、リラティブ・メジャーのトーナル・センターとその位置
この両者の位置関係がパッとわかる事ですね。
先ほども少しお話ししましたが、この図などを参考に、今までやったスケールトレーニングや、ダイアトニックコードの知識などとリンクさせて把握すると、早い段階で覚えられるでしょう。
では、今回は以上になります。
ありがとうございました。
大沼
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