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【ギターと音楽の教科書】vol.56『マイナーキー実践編 ~その5~ 楽曲の中での使い方』

【vol.56】マイナーキー実践編 ~その5~ 楽曲の中での使い方

(※この記事の講座を含む、現在プレゼント中の教材(総数10講座~、合計1000p~)は、こちらのページから完全無料でダウンロードが可能です)

※前回vol.55はこちら

どうも、大沼です。

“マイナーキー実践編”としてやってきた内容も、すでに5回。

これまでは、基本的な知識や考え方をメインに、多少の譜例を載せていましたね。

今回はここ5回のまとめとして、実際の楽曲をモデルに、実践ではどのように使うのか?と言う所を見ていきましょう。

知識的には、わからないことがあったら、過去のテキストに戻って復習して下さい。

それでは、始めていきましょうか。

いつもの様に、key=Amでいきます。

なのでまず、これまで覚えてきた、

・key=Amのダイアトニックコード
・Aマイナーペンタ
・Aマイナースケール
・Aハーモニックマイナースケール
・EHmp5↓スケール

あたりを確認しておいて下さい。

いくつかの譜例にはモデルとなる楽曲がありますが、テキストに載せる楽譜はすべてkey=Amに移調してあります。

原曲のキーも表記しておきますので、原曲を弾きたい場合は各自で移調して弾いてみてください。

移調の仕方がわからない、と言う場合は、過去のテキストのキーとダイアトニックコードの仕組みを復習して、自分で考えてみましょう。
(※「移調」なので、元のものをそっくりずらすだけです。)

この講座の目的は『自分の力で音楽を理解できるようになること』ですので、まずは頑張って、自分の力でチャレンジしてみてくださいね。

それでは、最初の譜例はこちらです。

※万が一、以下のリンク先が削除されている場合は、曲名などで検索するか、
音源を購入してください。

譜例1:Rainbow – “I Surrender” 風フレーズ

youtube原曲リンク ※原曲はkey=Gm
http://youtu.be/EJ29pVhsdMs
(※譜面の該当箇所は0:58~、もしリンク先が削除されている場合は、曲名などで検索してみてください)

この曲のポイントは、6小節目の3、4拍目で、Ⅴ7が出てくるところです。

キチンとスケール(使っている音)がAマイナースケール(or Aマイナーペンタ)から、Aハーモニックマイナースケール(の構成音)になっていますね。

譜例ではあえてkey=Amにしていますが、原曲はkey=Gmなので、Gマイナー系のスケールを使うと曲に合わせてソロが弾けます。
(※実際に、音源に合わせて弾いてみましょう)

譜例2、The Eagles -”Hotel California”風フレーズ
youtube原曲リンク ※原曲はkey=Bm
https://youtu.be/5a1rZrnUIRg
(※譜面の該当箇所は4:19~、もしリンク先が削除されている場合は、曲名などで検索してみてください)

有名な曲なので、過去に弾いたことがある人もいる事でしょう。

この譜例もkey=Amにしてあるので、原曲に合わせて弾く場合はBmに直してください。

後は、一部keyのダイアトニックコードに合わない部分がありますが、そこはコードアレンジの手法としてそうなっています。

その辺り、細かい話は今は割愛させてもらいますが、バックで鳴っているコードと、ソロで弾いている音のインターバルを確かめてみると、ちゃんとコードに沿って音を選んでいるのがわかりますね。

で、やはりこの曲も、ポイントとなる場所はE7の部分です。

まずは2小節目のE7。
(※ちなみに、この譜面のように、導入フレーズとして、前に小節がついている場合は、縦の二重線の次の小節から1小節目と読みます。)

ここはAナチュラルマイナーからAハーモニックマイナーにスケールを変えるので、4弦6フレットのG♯音がポイントです。

先ほどの“I Surrender”と同じですね。

8小節目は、コードはE7ですが、ここはハーモニックマイナーではなく、Aマイナーペンタ的なフレーズにしてあります。

2弦8フレットのG音は、E7に対してm3rdにあたる音なので、細かく見るとコードとはぶつかるのですが、ここはマイナーペンタのフレーズの一部として強引に弾ききっています。

どちらかと言えばブルース的な解釈のフレーズです。

と、この様に、理論は、しっかり理解できているとあえて無視したりする事も出来ます。

ただ、こういったプレイを自分でやる場合、慣れないうちは『ハズしかた』のさじ加減が非常に難しいのです。

そういう事がやりたい場合は、今回の“Hotel California”の様な良いサンプルを見つけて、『上手いハズしかた』の感覚を育てていきましょう。

聴き手に「あ、この人わかってやってんな。やるなー。」と思われるか、「ん?ミスってんじゃね?」と思われるかは、その辺の鍛え方によります。

ちなみに、ここで言う「理論を無視する」や「ハズす」と言うのは、西洋音楽的なロジックをベースにした時の観点です。

なので、そもそも西洋音楽とは違う発展をした音楽の場合、外すも外さないも無く、そうするのが普通、と言う場合も多々あります。(※純粋なブルースなど)

さて、話を戻しますが、譜例1、2共に、Ⅴ7に対する基本的な対応法としては、これまで学んだようにナチュラルマイナースケール(orマイナーペンタ)からハーモニックマイナーに切り替える、と言うことですね。

これまでお話ししてきた様に、ここがマイナーキーの最初の重要なポイントになります。

では、次に“ジャズっぽいヤツ”いっていみましょう。

どちらかと言うと、ジャズの場合、Ⅴ7ではオルタードスケールなどが使われる事が多いのですが、今回はハーモニックマイナー系のトレーニングなので、フレーズを無理やりハーモニックマイナー系にしてみました。

譜例3、key=Am(ⅡーⅤーⅠ)ex.1

  
それぞれのコードに合わせて、

Bm7(♭5)⇒Bロクリアンスケール(=Aエオリアン=Aナチュラルマイナー)
E7⇒EHmp5↓スケール(=Aハーモニックマイナー)
Am7⇒Aナチュラルマイナースケール

と、スケールを切り替えている事に注目してください。

そしてもう1つ大事なのが、
『今、弾いている音は、バックで鳴っているコードに対して何度なのか?』
と言う事
です。

これまでも確認してきたことですね。

この、インターバルの関係を把握しておかないと、いくらフレーズをコピーしても他で使えないことが多いです。

最初は面倒に感じるかもしれませんが、長い目で見ると、どんどんコピーと分析のスピードが上がっていき、結果的にインプットの時間短縮になるので、「後々楽になるんだ」と思ってちょっと踏ん張って分析してみてください。

では、もう2つくらい、“ジャズっぽいヤツ”の事例を弾いてみましょう。

譜例4、key=Am(ⅡーⅤーⅠ)ex.2

譜例5、key=Am(ⅡーⅤーⅠ)ex.3

さて、譜例4と5のE7の部分では、先ほどのようなEHmp5↓スケールで見る事も出来るのですが、ちょっと感じを変えて「G♯ディミニッシュスケール」系のフレーズにしてみました。

「え?なんで急にディミニッシュとか出てくんの?」と思うかもしれませんが、以前の講座で確認した、ハーモニックマイナーのダイアトニックコード表をもう一度思い出してください。

vol.53でちょろっと出てきたんですが、その時、

『全部覚えなくても良いけど、ⅠmM7とⅤ7、後はⅦdim7の所だけ確認しといてね」

みたいな事をお話しました。

※ハーモニックマイナースケールのダイアトニックコードとモードスケール

ⅠmM7    ハーモニックマイナー
Ⅱm7♭5    ロクリアン13th
♭ⅢaugM7   アイオニアン#5
Ⅳm7    ドリアン♯4
Ⅴ7(♭9)  ハーモニックマイナーP5thビロウ
♭ⅥM7 リディアン#9
Ⅶdim7 オルタード♭♭7

で、先ほど譜例4と5に使ったディミニッシュスケール(厳密にはディミニッシュド・アルペジオとでもいう様な形)なんですが、Ⅶ度のコードはディミニッシュコード(Xdim)になっていますよね。

「ディミニッシュスケール」と言うものが存在していることを知っている人は多いと思いますが、「そのスケールがどこから来てるのか?」についてはあまり知る機会が無いと思います。

このスケールの、大本の起源は、恐らくクラシックの論法からだと思いますが、音楽理論的にどこに分類されるのか?と言うと、上記のハーモニックマイナーのモードから来ています。

『(本来の)ディミニッシュスケールそのもの』の詳しい解説は、後の講座でやっていきますが、まずは下のスケール図とフレーズを見比べて、細かい事は置いといて、何となーくで良いので把握しておいてください。

図、ディミニッシュスケール(ディミニッシュド・アルペジオ)のポジション(スケールの覚えやすい形)

スケールトレーニングをする時は、最初の段階では、図に描いてあるようにフレットごとに使う指を固定して弾いてください。

例えば、先の進行でソロのを練習する場合は、key=AmのⅤ7である、E7の上でディミニッシュ関係のものを使う事になるのですが、どうやったら次のコード(ⅠmであるAm)のコードトーンに、半音か1音の距離でスムーズに移行できるか?を考えてフレーズを作ってみましょう。

実際に、これまで載せた譜例は全て、半音でAmのコードトーンに解決していますよね?

それらを参考に、自分でⅠmに解決するフレーズを考えてみて下さい。

(※後はⅦディミニッシュド・アルペジオの構成音が、Ⅰハーモニックマイナーの構成音の中に、全て入っている事も見ておきましょう)

(※※後、ディミニッシュスケールについては、後々、詳しく解説します)

と、言う事で、今回は以上になります。

今回の重要なポイントである、

・それぞれのコードに対するスケールチェンジ
・バックで鳴っているコードと、弾いているフレーズのインターバルの関係
・ハーモニックマイナーのモードとしての、ディミニッシュスケールの関係

これらをしっかりと確認しておいてくださいね。

では、また次回。

ありがとうございました。

大沼

※次回vol.57はこちらから

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名前:大沼俊一

ギタリスト、音楽家、ギター講師



~全てのギタリストに音楽の基礎教育と、
音楽を学ぶ事の楽しさを~


このブログでは「僕自身が独学で学んでいた頃、こんなことが知りたかった」と言うテーマで発信しています。

音楽そのものの構造を何も理解せずに、がむしゃらにコピーをしていくのもありと言えばありですが、どうしても練習効率が悪くなりがちです。

この先、どんなジャンルに進むにしても必ず役に立つ、ギタリスト必修の知識を、早い内に身に付けてしまいましょう。

ギターテクニックと、感性、知識、音楽理論を結び付ける事が、圧倒的な上達スピードを生み出す秘訣です。


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