【vol.58】使えるとカッコいいディミニッシュスケール
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どうも、大沼です。
さて、この講座の一部の受講者さんからは、「難しいです!」と好評だった(?)前回(vol.57)のテキストですが、いかがでしたでしょうか?
あの内容が、ゆっくりでも良いので、分析できたり、演奏で扱える位のレベルになると、一般的なアマチュアのレベルを完全に超えているくらいになります。
内容としては、あえて難しめに(と言うかまだやっていない事を)書いている所もあるので、現時点でよくわからなくても気にする事はありません。
元々この講座は、世の多くの人に、
『音楽をやる上で必須の基礎的な知識を学び、わからない事も自力で解決できるようになってもらう』
ために作ったものです。
前回のテキストのレベルは、この講座のゴールみたいなもので、
「現時点でこれを読んで、どう感じるのか?どのくらい理解できるのか?」
を確認して欲しかったのと、講座自体も終わりが近くなってきたので、(vol.80で完結)あえて先に出してみました。
実は最初に思っていたよりも、だいぶ理論よりの内容になっているので、今後は実際の演奏面をフィーチャーしたコンテンツを出して行こうと思っています。
これまでやってきたテキストの内容を理解していれば、理論の面では、今後つまずく事も少なくなってくるでしょう。
もちろん理論が全てではないのですが、理論を知っていて有利なのは、自分が聴いているもの、プレイしているものに『確信を持てる』と言うところです。
好きなギタリストの曲をコピーしていて、「ああなるほど。こういうことね」とやっていることを理解できる。
作曲やアレンジ、アドリブなどで、自分のやっているものが、『間違っていない』事がわかる。
当然、理論的に正しい事がいつでも一番良いと言うわけでもないですが、音楽理論が、
『音を聴いたときの人間の感覚を分析して体系化したもの』
である以上、どうしてもそれが『ベース』となってきます。
(※そうしないと、世のほとんどの人が理解できないものが出来上がります)
その基礎を知っているのと知っていないのとでは、
自分から発信するもののクオリティに差が出てくるのは当然ですよね。
そういった観点から、これまでやってきたものや、
これからやっていくものを見ていくと、多くの事に気が付くでしょう。
と、言うことで今回は、コード進行の中にもチョコチョコ出てくるし、
スケールの存在も知っているけど、微妙に、どう対応して良いのかわかりにくい
『ディミニッシュ(系)スケール』
についてやっていきましょう。
このスケールの構造と基本ポジション、ベーシックな使い方を、今回から数回に分けて見ていきます。
以前のテキストで少し出てきたのと、単純に、スケールの名前はどこかで聞いた事があるでしょう。
普通に曲を演奏していれば、「Xdim」というコードもどこかで出てくるはずです。
別に詳しく知っていなくても、コード進行の中で、単にdimのコードを押さえて弾くだけであれば、コード表を見てフォームを覚えれば出来る事ですね。
ですが、アドリブの練習やソロを作る時などに、
・dimのコード上で、スケールポジションをどう見たらよいのか?
・そもそもdimスケールとは、どういう時に使うものなのか?
その基本を学んでいきます。
1、ディミニッシュスケールの構造
では、「コードはスケールから出来ている」と言う事で、最初に“ディミニッシュスケールそのもの”について、簡単に解説します。
まず「ディミニッシュスケール」を正確に解説すると、全8音構成のスケールになるのですが、最初にその状態で覚えようとすると、非常に理解しにくく、実用性にも若干乏しいので、全4音で構成された“簡易版”の様なスタイルでポジションを覚えます。
ですが“簡易版”といえど、実際の演奏では、それを覚えているだけでも十分にやっていけるようなモノなので、しっかりと理解しておきましょう。
(※注、厳密に言うと、今回学ぶものは「ディミニッシュト・アルペジオ」とでもいう様なスケール(≒アルペジオ)なのですが、この講座では、便宜上「ディミニッシュスケール」と呼んでしまうことにします。上に書いたように、一般的な楽曲なら、ディミニッシュ系のものはこれを覚えていれば何とかなることがほとんですので)
さて、dimコードの代表的なフォームには、以下の様なものがありますね。
例、C dim7コード、重要フォーム
曲の中でdimコードが出てきた場合、大方、この辺りのフォームを押さえてコードを鳴らす事になります。
(※もちろん他にもヴォイシングの候補はあります)
上のフォームはdim7のコードなのでroot、m3rd、dim5(♭5)、♭♭7th(ダブルフラット7th)の4音構成ですが、root、m3rd、dim5(♭5)の3音で構成された、ディミニッシュド・トライアドとしてコードを弾く場合もあります。
例、C dimコード(ディミニッシュド・トライアド)、重要フォーム
以上、3つほどコードフォームを載せましたが、今回重要なのは、root、m3rd、dim5、♭♭7thで構成された4和音の方です。
今回覚えるディミニッシュスケールは、トニック(root)から見て、この4つのインターバルに当てはまる4音で構成されてます。
例えば、最初に載せた、Cdim7コードの構成音、
C(root)、E♭(m3rd)、G♭(dim5)、B♭♭(♭♭7)(=A音と異名同音)
の4音はそれぞれ、Cdimスケールの構成音となります。
(※コードフォームの画像では譜面作成ソフトの都合で、D♯、F♯になっていますが、インターバル的に正しく見ると、それぞれE♭、G♭となります。)
図、C dim7コードとCdimスケールの位置関係
※Cdimスケール(Cディミニッシュト・アルペジオ)
※Cdim7コード
今回、ディミニッシュスケールとして覚えるポジションは、上のスケール図の中にあるのですが、もう1つ、このディミニッシュスケールの特徴として、
ずっと1.5音間隔(3フレット間隔)で、4つの構成音が並ぶ
という所を把握しておきましょう。
図、Cdimスケール、1.5音間隔(3フレット間隔)
我々が普段やっている音楽は、1オクターブを12分割した12平均律を使っているので、きっちり1.5音(3フレット)間隔で音が並ぶ、と言う事は、要するに、
dimスケールは4音で一周する(12フレット÷3=4音なので、ちょうどトニックに戻る)
と言う事です。(※図を見るとトニックC音から、ちょうど4音でC音に戻っていますね)
なので、全ての音が等間隔で並んでいることにより、3フレットごとにまったく同じ形でポジションを平行移動できる事になります。
そして、「等間隔で音が並んで、トニックからトニックまで一周できる」と言う事は、1つのディミニッシュスケール(※今回学んでいるディミニッシュド・アルペジオ)は、「その構成音4音の内どの音をトニックに設定してもまったく同じスケールポジションを使える」事になります。
(※注、ただし、8音構成の本来のディミニッシュスケールはそうはなりません)
例えば、今、例として上げているCdimスケールですが、構成音は、C(root)、E♭(m3rd)、G♭(dim5)、B♭♭(♭♭7)=Aですね?
この4音がずっと等間隔で並ぶので、CdimスケールはE♭dimスケールでもあり、G♭dimスケールでもあり、Adimスケールでもあるわけです。(B♭♭dimスケールと見る事は、ほぼ無いと思います)
この4つの音ならば、どの音から初めても、まったく同じ音の並びになります。
(※図をよく見て確認してみてください)
なので、1つのディミニッシュスケールを覚えると、12平均律の12音の内、4音分をカバーしている事になりますよね。
よって、ギターの指板上に存在するディミニッシュスケールのポジションパターンは、
12音÷4音=3なので、全部で3パターンである
と言う事です。
具体的には、
・Cdim=E♭dim=G♭dim=Adim
・C#dim=Edim=Gdim=B♭dim
・Ddim=Fdim=A♭dim=Bdim
の3パターンしかありません。
先ほど載せたスケールポジション図を、それぞれのトニックに設定した音に当てはめて、そのままずらすだけで全てのディミニッシュスケールが弾けてしまいます。
たかだか3パターンなので、指板上で全てのポジションを練習しても良いのですが、そこまでやらなくても、実用レベルではまったく問題が無いので、今回は代表的なポジションを2つ覚えましょう。
このスケール(≒アルペジオ)は、4音構成と音数も少なく、形も特徴的なので、毎日パラパラやっているだけで、すぐに覚えることが出来るでしょう。
という事で、その2つのポジションとは以下になります。
図、Cディミニッシュスケール、ポジション1、(6弦ルート)
譜例、Cディミニッシュスケール、ポジション1、(6弦ルート)
実際に曲中で使う時は、違うパターンになる事もありますが、指定してある指使いで練習するのが一番わかりやすいでしょう。
この指使いが手に馴染んでくると、指板をまったく見なくても弾けるようになりますので。
譜割も指定してありますが、ポジションを覚えてしまったら特に気にせずに自由に練習してみてください。
図、Cディミニッシュスケール、ポジション2、(5弦ルート)
譜例、Cディミニッシュスケール、ポジション2、(5弦ルート)
以上の2つのポジションを覚えてしまえば、後は3フレットごとにまったく同じ形が続くので、他のスケールに比べて覚えるのは簡単です。
もう少し、ディミニッシュのスケールポジションの特徴を上げるならば、下の図の様に、斜めに一段ずつずれていく感覚を意識するとわかりやすくなると思います。
後は、よく使うフレーズとして、1~3弦間を使った動きがあるので、その周辺の特徴的な形を2つ見れるようになっておきましょう。
個人的には、音の配置を視覚的に見て、左の形を「ジャンプ台ポジション」、右の形を「ひし形ポジション」と、呼んでいます。
とりあえず呼び方は何でも良いのですが、この2つの形を覚えて、3フレットごとに左右に移動してみる練習もやっておきましょう。
上手くやるとフレーズっぽい響きが出来上がるはずです。
と、言うことで、今回は以上になります。
次回は、今回覚えたポジションを「何時、どう使うのか?」について解説して行きたいと思います。
アウト系のアドリブなどでも使えるので、使い方を理解しておくとプレイの幅が広がります。
では、また次回。
ありがとうございました。
大沼
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