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【ギターと音楽の教科書】vol.59『ディミニッシュスケールを使う時 ~その1~』

【vol.59】ディミニッシュスケールを使う時

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※前回vol.58はこちら

どうも、大沼です。

前回は、ディミニッシュスケールの基本ポジションを2つほど覚えましたね。

今回は、その覚えたポジションをどう使うのか?、ここを学んでいきましょう。

ディミニッシュスケールを使う場面は、大きく分けて2つ。

1つは、コード進行の中に普通にdimコードが出てきた時。

もう1つは、マイナーキーの5度のドミナント7th上で使う時。

この2つです。

前回覚えたポジションを、上記のコード進行の中でどう使うのか?がわかっていれば、大概の曲はどうにかなるので使い方のロジックを把握しておきましょう。

それでは、前回、スケールポジションを覚えたので、次に覚えるべき事は「それを使う場面」ですね。

先ほどもお話ししましたが、ディミニッシュスケールを使う場面は、大きく分けると、

1、コード進行の流れの中にdimコードが出てきた時

2、(主に)マイナーキーのドミナント7thコード上

の2つです。

それぞれを見ていきましょう。

ではまず、1のコード進行の流れの中にdimコードが出てきた時についてですが、これは俗に言う、パッシング・ディミニッシュという、全音間隔のコードとコードの間に経過音的にdimコードを挟む手法ですね。

譜例1、key=C、ⅠM7-Ⅰ#dimーⅡm7

これはよく理論書などでも例として取り上げられている、CキーのⅠM7 とⅡm7の間に、半音で接するⅠ♯dimコードを挟んだものです。

パッシング(Passing=通過する)の意味の通り、 コードとコードの間を繋げるような、スッと通りやすくするような、そんなコードアレンジの手法です。

このパッシング・ディミニッシュと言う手法なんですが、使う時はちょっとしたルールの様なものがあって、

主に、全音間隔(ギターなら2フレット間隔)のルート音を持つコード同士の、上行進行の間に入れられる

というものです。

なので、先ほどの例の様に、CM7→Dm7といった、ルートが全音間隔で、上行しているコード同士の間ならdimコードを入れることが出来ます。

他に例を挙げるとすれば、FM7→G7の間にFM7→F♯dim→G7とかでもアリと、言うことですね。

逆にパッシング・ディミニッシュを入れられない、とされているのは、下降進行の時(例えばAm7→G7と下がっているコード進行の間にA♭dimはダメ)と、上行でもXm7(♭5)の前には置けない、とかがあります。

ですが下降進行でも、マイナーコードとマイナーコードの間には、例外的に入れられたりするので、ちょっと覚えるのが面倒くさかったりします。(※例えばEm7→Dm7の間にE♭dimはOK)

まあ、今回は普通にdimコードが出てきたらどう対応するのか?が主旨なので、dimコードのコードアレンジ手法については、今は覚えなくて良いです。

「色々とルールがあるんだなー」くらいで十分なので。

もし作曲やアレンジなどをしている時、必要を感じたらテキストを読み返すなどして頂ければ、と。

(※とは言えこの話(ルール)は、ある種正当なジャズ理論書などに書いてあったものなので、本当に「自分が良いと感じる」ならば、それらを無視した方が良いこともあるのかもしれません)

さて、少し話が逸れましたが、実際のソロプレイの方に戻りましょう。

まず、先ほどの譜例1のように、dimコードは経過的に、長くても2拍ごとのチェンジで出てくることが多いです。

ですがそれだと最初の段階ではコードチェンジが早すぎて練習しにくいので、全てのコードが1小節ごとに変わる進行に変えることにします。

そしてもう1つ、最後にCM7に戻りやすい様に、Ⅴ7であるG7も足しましょう。

譜例2、key=C、ⅠM7-Ⅰ♯dimーⅡm7ーⅤ7 (5弦ルート)

と、言うことで練習するのはこのようなコード進行になります。

dimコードは、パッシング・ディミニッシュと言う言葉が示すように、“パッシングな”使われ方をする事が多いので(どちらかと言えば)長く鳴っている事は少ないです。(※楽曲やジャンルにもよりますが)

ですが、2拍ごとのような早いチェンジだと、耳でディミニッシュの響きを感じる前にコードが変わってしまう恐れがあるのでこうしました。

次に、上の進行では5弦にルートを見たコードがメインなので、5弦ルートのC♯dimスケールのポジションを確認しておきましょう。

図3、C♯dimスケール、5弦ルート

まずは譜例2で示したC♯dimのコードフォームにリンクさせて、主に赤枠で囲ったポジション周辺でフレーズを作ってみましょう。

他の3つのコードはkey=Cのダイアトニックコードなので、それらのコード上で使うべきスケール(使える音)はCメジャースケール(の構成音)になりますね。

今回は、それを踏まえた上で、それぞれのコードのコードトーンをベースにした、ジャズっぽい(ビバップ的な)ラインで練習します。

もう少し補足すると、例えば、

・CM7の上では、CM7の構成音、C、E、G、Bの4音をメインに使ったフレーズ

・Dm7の上では、Dm7の構成音、D、F、A、Cの4音をメインに使ったフレーズ

みたいな感じで弾いてみましょう、と言う事です。

譜例3、key=C、ⅠM7-Ⅰ♯dimーⅡm7ーⅤ7、(5弦ルート、ソロプレイ)

譜面の表記の通り、ジャズっぽい、ハネる(スウィングの)リズムで弾いてみてください。

この手のフレーズに慣れていない場合もあると思うので、一応、指使いを指定しましたが、コードチェンジに対する左手の動き(移動)の感覚がわかってきたら、自分の弾きやすい指使いに変えてしまってもOKです。

後、あえて譜面にはアーティキュレーション(ハンマリングなどによる表情付け)を書いていませんが、ハンマリング&プリング、スライドなど、それらのテクニックを入れると滑らかに弾ける箇所があったりします。

その辺りも指使いと共に、自由に考えて、自分なりに色々と試してみましょう。

さて、次は6弦ルートのポジションで、同じような譜例を弾いてみるのですが、先に、この手のフレーズの構造というか、作り方のちょっとしたルールみたいなものを解説します。

そのルールを一言で言ってしまうと、

・コードチェンジの時、次のコードのコードトーンに半音で接するようにフレーズの流れを作る

と言う事です。

譜例3をよく見て欲しいのですが、コードチェンジの際(4拍目ウラと1拍目オモテ)の音が、半音で接していますよね?

この様に、次に進むコードのコードトーンに、出来るだけ近い音で接する様にフレーズを作ると、フレーズ単体で聴いていてもコードが変わっていることが感じられ、自然でメロディックなフレーズになります。


今回は、12音階で言えば、最小のインターバルは半音になるので、全てのチェンジの時に半音で接するようにフレーズを作りましたが、場合によっては全音の間隔でも構いません。

ただ、チェンジに対応して半音で接するフレーズが弾けると、上級者っぽい、良い感じのプレイになります。

この辺りはジャズの素養があるプレイヤーが非常に上手いので、参考にしてみましょう。

後、“チェンジの際に次のコードのコードトーンを狙うルール”みたいな言い方を
しましたが、これは何時、どんな曲でもそうしろ、と言うわけではありません。

1つのトレーニングとして、そういったルールを設けて練習してみましょう、と言う事です。(※念のため)

でも、これが出来るとフレーズの質がかなり上がりますので、重点的にやっておいて損は無いです。

参考までに、譜例3のフレーズの指板上での動きをもう少し解説すると、1~2小節目であれば、こんな感じで、それぞれのコードに対して音を繋げている、と言う事です。

こういった感覚で4つのコードを繋げていますので、譜例を参考に、自分なりにフレーズを作ってソロを練習してみてください。

では今回最後の練習として、同じ進行を6弦ルートで見た場合のサンプルを弾いてみましょう。

まず、代表的なコードのポジション(ヴォイシング)としてはこんな感じです。

譜例4、key=C、ⅠM7-Ⅰ♯dimーⅡm7ーⅤ7 (6弦ルート)

いつか解説したような気がしますが、このタイプのXM7やXm7のコードフォームは、ジャズっぽい曲はもちろん、バラードなどでも重宝するので覚えておきましょう。(※もちろん他にもコードヴォイシングの選択肢はあります)

次に、今回の課題である、C♯dimスケールの6弦ルートのポジションなんですが、この辺りを見ておきましょう。

図4、C♯dimスケール、6弦ルート

こちらのスケールポジションも5弦ルートのものと同じく、前回のテキストでC音ルートで練習したものと同一ですね。

それでは最後の譜例です。

先ほどの、5弦ルートのフレーズよりも少し複雑にしてあるので、じっくりとそれぞれの音のコードに対する響きを確認しながら弾いてみてください。

譜例5、key=C、ⅠM7-Ⅰ♯dimーⅡm7ーⅤ7、(6弦ルート、ソロプレイ)

と、言うことで、見ての通り、後半に少し譜割りを変えていたり、クロマチックアプローチを入れてみたりと、色々やっています。

こんな感じのものも有りなんだ、という例として、ガチガチの理論からは外れるような事もしてみました。

ジャズなどでは、このようなクロマチック的な動きや、アプローチノート(半音で目的の音に接する音)を使う動きは普通です。

3、4、8小節目にCキーから外れる音を入れていますが、その部分ではフレーズの響きが急に“それっぽく”なるように感じるはずです。

この辺りを上手く使える(入れられる)様になるには、少し訓練が必要なのですが、なんとなーくで良いので今の内に体験しておきましょう。(※興味のある方は、ジャズのソロをコピーして見るといっぱい出てきます)

と、言う事で、今回は以上です。

次回は、ディミニッシュを使うもう一つの場面、マイナーキーのⅡーⅤ-Ⅰの進行についてお話ししていきたいと思います。

ありがとうございました。

大沼

※次回vol.60はこちら

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名前:大沼俊一

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