『知識と感情を融合させた表現が出来るギタリスト』になる為の Intelligence & Emotional Guitar

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最近読んで面白かったマンガと、音楽の枠組みのハナシ

どうも、大沼です。

 

最近、『ブルージャイアント』と言う漫画にハマっています。

 

この漫画との出会いは、ある日、ふと立ち寄った本屋で、
サックスを持った主人公が表紙の1巻を見つけたのが始まりでした。

 

そうしてそのまま、

『あ、なんかジャズのマンガがでてる。試しに買ってみるか』

と、レジへ直行。なんとなーくのジャケ買いです。

 

特に事前情報も無かったので、単なる興味本位だったのですが、
これが運よく大正解。

 

そんなこんなで1巻を読み進めてしまったが最後、
次の日には、現時点(2015年4月時点)で発売している
5巻までを大人買いという始末。

 

 

いやー、見事にやられましたね。笑

 

 

その『ブルージャイアント』なんですが、
ストーリーをざっくりと説明すると、

『主人公がある日ジャズに心を打たれ、テナーサックスを始め、
世界一のジャズプレーヤーを目指す』

というお話です。

 

 

うーん・・・。

 

 

こんな雑な紹介の仕方では、よくありがちな
単なる、「音楽を扱ったマンガ」としか思えませんね。笑

 

 

読んでいて、僕自身、色々と感じる事もあったので、
もうちょっとお話ししてみたいと思います。

 

 

 

さてまずは、この手の、

「音楽のような、“紙媒体の上では表現がしにくいもの”を
題材としてる作品」

でよくあるパターンとしては、場合によっては演出が過剰だったりして、
内容が現実とは大きくかけ離れてしまうことが挙げられます。

 

そして読んでいても「まあ、マンガだからね」と言う感じで、僕らが
生きている現実とは、切り離された世界のように感じてしまい、
イマイチ感情移入出来ない事も多かったり。

 

 

でも『ブルージャイアント』では、登場人物の
言動や行動が妙にリアルなんですよね。

 

楽器をやっている人なら「あー、あるある。」とか、
「わかるわー」と、思ってしまうような。笑

 

 

こういった部分も僕が作品の世界に引き込まれていった
理由の1つでしょうか。

 

 

実際に、パラパラとこのマンガを読んでいて、
「これは実際に楽器やったことある人じゃないと、ここまで書けないよな。」
と思い、ちょっと調べてみた所、やはり作者の石塚真一さん自身も
プレーヤー経験があるとの事。

 

 

「演奏を聴く側」だけではなく、「演奏をする側」の
喜びや苦悩の描き方も非常にリアルなので、

「この人(石塚さん)マジで音楽が好きなんだろうな」

としみじみ感じる、納得の描写が満載なんですよね。

 

 

 

この作品の象徴的なシーンの1つに、主人公のライブでバックを務めた
とある登場人物(ドラマー)が、音楽の素晴らしさを
改めて実感するシーンがあります。

 

 

ライブでは、非常にアツい演奏が繰り広げられるのですが、
演奏が熱を帯びるにつれて、そのドラマーが自分の人生を
振り返るのです。

 

ドラムを始めたばかりの頃・・・、

若い頃のバンドマンとしての思い出・・・、

その後、歳をとるごとに、一緒にやっていた仲間が
音楽を止めていったこと・・・、

 

などなど。

 

 

人間と言う生き物は、自分のやってきた事に
なかなか確信が持てないものですが、
主人公のアツすぎるプレイに心を打たれ、

『ああ・・・。ドラムやってて、
やっぱり間違ってなかったんだ。』

と、プレイヤーである事の喜びを実感するのです。

 

 

そういった、僕ら音楽好き、楽器好きの、
初心を呼び起こしてくれるような作品だと思います。

 

おそらく、誰しもが持っている、
『久しく忘れていた、あの頃の感覚』を
思い出させてくれるでしょう。

 

 

とまあ、この漫画の面白さは
実際に読んでもらえればわかるとして、
そろそろ、本題に入りましょうか。

 

 

あ、マンガに興味が出た方は、こちらからでも、
どこからでも、お好きな所からどうぞ。

↓↓

 

5巻発売の時点で50万部を突破しているらしいです。

(※公式サイトはこちら。⇒http://bluegiant.jp/)

 

まだまだ始まったばかりの作品なので、
先が楽しみですね。

 

 

 

さて、では、今回のタイトル、

『音楽の枠組みのハナシ』

と言う事でいってみましょう。

 

 

ブルージャイアントのとあるシーンで、
非常にわかりやすい描写があったので、
それを題材に考えて行きたいと思います。

 

 

 

事はマンガの主人公である、サックスプレイヤーの大(ダイ)と、
ピアニストの雪祈(ユキノリ)の練習中に起こります。

 

この2人、どちらも演奏者としては非常にレベルが高いのですが、
ピアノのユキノリは、幼少の頃からしっかりとした
音楽教育を受けてきたタイプ。

 

それとは対照的に、主人公でサックスのダイは、
主に独学でやってきた天然タイプです。
(一応、一定期間のレッスンを受けてはいます)

 

その、天然系プレイヤーのダイがアドリブソロをとる時、
既存の音楽の枠に捉われずに、あまりにも自由に吹きすぎるので、
それを聴いたユキノリがダイにダメ出しをするんですね。

 

ユ『今の何?』

 

ダ『え・・・?』

 

ユ『コードからオモクソ外れてんだけど。ワザと?』

 

ダ『や・・・勢い。オレの勢いで。』

 

ユ『はあ!?バカじゃねえの!?』

 

ユ『枠から外れてんのは全部雑音だから。
もっと抑えろよ!オレに合わせろ!』
(※音程的に、バッキング、コードに対して合わせろという意味)

 

ダ『抑えてちゃ伝わんねえべ!
全部出し切ってナンボなんじゃねえの!?』

 

ユ『バカ、お前のは理解不能なんだよ。
音楽として理解されなきゃ、意味ねぇだろが』

(セリフ引用※3)

 

と。

 

そして、こう説明されても、イマイチ納得していないダイに、
ユキノリが以下のように実例を見せます。

(引用※1)

0401-6

 

(引用※2)

0401-7

 

サックスのダイのプレイは、広ーく捉えれば、
音楽的、理論的には収まっている(らしい)のですが、

自由にやりすぎて行き着くところの、
『暴走して事故る事』
をユキノリは懸念してるのですね。

 

(なんか『のだめカンタービレ』でも
似たような話があったような・・・。)

 

それを阻止する為に、上のように、ダイにはまだ見えていない、
『ベーシックな枠組みの中でのプレイに対する可能性』を
説いています。

 

 

要するに、『音楽の枠組み』と言うのは、

音楽には、

keyがあり、スケールがあり、コードがあり、メロディーがあり、
ハーモニーがあり、リズムがあり、フィールがあるので、

その楽曲が持つ、それらの要素から外れたことをすると、
そのプレイはほぼ間違いなく、

『邪魔』

である、と言う事です。

 

 

この『音楽の邪魔』をしない為に知っておくこととして、楽典やら、
音楽理論やら、ジャンルごとのプレイスタイルやらがあるのですが、

それらをちゃんと学んでおかないと、やはりどこかで音楽的に
『事故る』か『破綻する』と。

 

 

僕らが普段CDなどの音源を通して聴いている、
様々な作品は、ちゃんと『音楽』として成り立っていますよね?

 

この世の中で、『音楽』を作っている人達は、
学ぶべきことを学んだ上で、作品として仕上げています。

 

逆に初心者の人が作った曲などを聴くと、その人が
基本的な音楽のルールをわかっていない事が多いので、
多くの場合「ん?」となるでしょう。

 

 

時々、『オレ理論とか全然しらないんだけど』みたいな事を言っている
スゴイ人がいますが、そういう人は「理論」として学んでいないだけで、

自分なりに構築した方法論が、実は世間一般の音楽理論と
ほぼイコールになっていたりするのです。

 

と言うかそれが音楽として成り立っているならば、
自然とイコール(に近いもの)に勝手になります。

 

 

別にそう言った状態を目指してもいいのですが、それは

『自分の耳(聴覚)を頼りに、方法論を構築していく作業』

になるので、凄まじい時間と労力が必要ですよね。

 

 

ずーっと前からやっているよ、と言う人ならともかく、
これからやろう、と言う場合は、知識として1つずつ覚えながら、
自分の聴覚(音感)と擦り合わせていくのが、最も効率が良いでしょう。

 

 

 

我々ギタリストもちゃんと上手くなろうと思ったら、
学ぶべきことを学ばねばなりません。

 

そうしないと、例えばあなたがライブでギターを弾いたとしても、
そのプレイが音楽的に破綻していた場合、
聴いている人達は、ポカーンとするしかないのです。

 

 

特に僕達が弾いている、ギターのような「音程楽器」の場合、

『その曲の調性(key)に対して、鳴らしてはいけない音』

が、常に存在するのでなおさらです。

 

 

我々が学んでいる、スケールやコードなどの「音楽のルール」は、
上に乗せた画像の中でユキノリが言っている、

『枠』

なのです。

 

 

そしてそのユキノリが

『枠内なら、どんなに勢いがあっても!!暴れ狂っても!!』

『雑音じゃねえから!!』

と言うように、まずは、

「枠内でちゃんと弾けること」

が大事です。

 

 

このブログを読んでいる人は、

『自由にギターが弾けるようになりたい』

と思っている人が多いと思います。

 

しかし、まずは『制限』や『枠』をしっかりと学び、
それらをキチンと理解しておく事が『自由』につながります。

 

 

ちゃんと学んでいけば、

『制限の中にも大きな自由があること』

が段々わかってきます。

 

そのレベルにたどり着いた時、
音楽理論を学んでいた意味を実感できる事でしょう。

 

では、また!

 

大沼

 

P.S.

紙の書籍と電子書籍の発売日にラグがある作品だと、
手持ちには両方の媒体が混ざります。

 

ブルージャイアントは1巻と5巻が紙の本、
2~4巻が電子書籍になってしまいました。

 

※引用元

1、)石塚真一 『BLUE GIANT 5』第36話 13ページ 2015年 小学館

2、)石塚真一 『BLUE GIANT 5』第36話 14ページ 2015年 小学館

3、)石塚真一 『BLUE GIANT 5』第36話 11、12ページ 2015年 小学館

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プロフィール

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名前:大沼俊一

ギタリスト、音楽家、ギター講師



~全てのギタリストに音楽の基礎教育と、
音楽を学ぶ事の楽しさを~


このブログでは「僕自身が独学で学んでいた頃、こんなことが知りたかった」と言うテーマで発信しています。

音楽そのものの構造を何も理解せずに、がむしゃらにコピーをしていくのもありと言えばありですが、どうしても練習効率が悪くなりがちです。

この先、どんなジャンルに進むにしても必ず役に立つ、ギタリスト必修の知識を、早い内に身に付けてしまいましょう。

ギターテクニックと、感性、知識、音楽理論を結び付ける事が、圧倒的な上達スピードを生み出す秘訣です。


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