【vol.00-3】『各トレーニングの意義、その 2』~音楽理論について~
さて、続いて、音楽理論についてです。
音楽理論(楽典)は、例えばスポーツで言うならば、競技のルールと、戦い方(戦略)などにあたるような物です。
例えばスポーツで言うと、野球のルールを知らないと競技にならないように、音楽にも知っていなくてはならない、基本的な楽典(音楽の仕組みのようなもの)があります。
野球では場面によって、バントしたり、前進守備をしたり、色々な戦略がありますよね。
当然同じく音楽にも、理論によって、その時その時に効果的なアレンジやフレーズを選ぶ(作る)能力が必要な時があります。
とはいえ実際のところ、これらの知識的なものは、別に知らなくても競技(僕達にとっては音楽)は行うこと自体は出来ますよね。
しかし、野球のルールを知らない人が試合に出たら、おかしなことになってしまうことが容易に想像できるように、音楽にも知っておくべきルールというものがあるのです。
もちろん、全てを完璧に知っている必要はありませんが、楽典やスケールなどの知識がまったくない人の音楽というものは、やはり、どこか破綻しているものです。(その人一人で作っている場合は特に)
音楽理論は、『簡単』といってしまうと、ちょっと表現がインスタントすぎますが、そこまで難しいものではありません。(特に一般的に使うであろう範囲は)
感覚としては、「小学生の算数+中学生の英語の単語の暗記を少し」くらいのレベルでしょうか。
ではなぜ、そのくらいのレベルなのに、一般的には「わかりにくい」とか「難しい」などと思われているのかというと、
『普段まったく使わない、「新しい言葉(音楽用語)」のオンパレード』
だからだと僕は思います。
音楽理論や楽典は、文字通り『音楽用語』で全て話が進むので、その意味を理解して、その言葉を使うのに慣れるまでに挫折してしまうのです。
例えば、「おはよう」という、おそらく、ほぼ世界共通で使われているであろう言葉でも、その国の言葉が一切わからなかったら、そう言われてもまったく意味がわからないですよね。
そのようなことが、音楽をやっている人達が使う、「音楽語」で起こっている、と。
そんなイメージです。
先に、大雑把に音楽理論の基本概念を言ってしまえば、
『各音(とコード)に番号を付けて、機能を分類し、並べ替えたり、入れ替えたりする方法を学ぶもの』
と言ってしまってもいいでしょう。
リズム関係は、おおかた割り算ですしね。
これらの「本質的には至極単純なもの」を、はじめて触れる用語でずっと解説されるのでとっつきにくいのです。
その辺りのギャップを埋めるコンテンツを、この講座では提供していきます。
正直なところ、『音楽理論』という言葉が意味している範囲は少し曖昧です。
このブログで主に伝えたい事としては、『基礎的な楽典』と言う範囲が正しいかもしれません。
日本語には日本語のルールや使い方があるように、音楽をやる上での基礎的な知識やルール、それらの使い方を
あなたにとって必要な範囲を学んでもらうのが目的です。
■『音楽理論を学ぶと、音楽理論に囚われる』という迷信について■
先程も少しお話ししましたが、誤解を恐れずにざっくりと言ってしまえば、音楽理論というモノは、
『こういう状況の時に、この音は鳴らしでも OK。でもこの音は鳴らすとちょっとマズイ』
という『音の区分け』みたいなものです。
単純に「既存の理論に捉われないプレイをしたい」というならば、「鳴らすとちょっとマズイ音」をあえて使ってみて、自分の感覚で『これは OK だ』と感じるならば、そのまま使えば良いのです。
ですが「理論を学ぶとそれに捉われる」と言い、音楽理論や基礎楽典を学ぶことを避けている人は、
「OK な音」はともかくとして「ちょっとマズイ音」を高い精度で判別することが出来ません。
そうして、理論を知らない人が「俺は理論に捉われたくない」と思って作ったモノが、結局、理論の枠にすっぽり収まっていて、なんら面白みも無いモノが出来上がる、というのは良くある話。
通常、音楽理論から外れる音は、普通の感覚の人間には、ミストーンに聴こえる事がほとんどなので、「それをあえて使う」などという判断は、“よほど特殊な感覚の持ち主”か、“一定以上、音楽的な聴覚が鍛えられた人”くらいにしか出来ません。
さらに言えば、『それらを上手く、効果的に使うこと』や、『あえてそれを使った事によって、その音楽がより良くなる』、というレベルの使用が出来るのは、“音楽的な感覚がキチンと鍛えられた人”だけです。
もし『音楽理論に囚われてしまう』ならば、それは『学び方が中途半端だから』と言えるでしょう。
理論に囚われたくなければ、学んだ後でも、最終的に、自由に好き勝手やればいいだけですからね。
後、『音楽理論を学ぶ意義』に対して最もフェアな表現として、『音楽理論は全てではない』と言うものがあるのですが、これには僕も賛成です。
音楽理論は、主に「過去の楽曲(や演奏)を分析して体系化したもの」なので、先に音楽(楽曲)ありきの『(人間が感じている事の)後付け』的なものですからね。
ただ、『全てではない』と理解できた人というのは、何も知らずにそう言っているわけではなく、当然、そう理解できるレベルまで理論を学んでいます。
なので、理論を何も知らない人が、『理論は全てではない』という言葉を聞いて、「全てではないって事は、知らなくてもいいんだな」と、そう考えるのは筋違いです。
もうすでに、『理論なんて知らないけど、思い通りにギターが弾けるよ』というならば、特別、学ぶ必要もないかもしれません。
しかし、もし、あなたがそうでないならば、これから少しずつ、早いうちに学んでおけば、色々な面で「やっていてよかった」と思う日が来るでしょう。
最終的に、音楽理論や楽典の「何がどのくらい必要なのか?」については、『その人がどういうレベルで、どういうことがやりたいのか?』によるので、人によってまちまちです。
このブログや僕配布しているテキストでは、「ギタリストが覚えておいて損はない範囲」のことはほぼ全てやっていくので、1から継続的に学ぶなり、わからないことを調べたりと、柔軟に活用してもらえれば、嬉しく思います。
一気にやると、それなりの量になりますので、日々の基礎練習に組み込むなどして、焦らずにじっくりとやっていきましょう。
それでは、今回は以上になります。
ありがとうございました。
大沼
この記事へのコメントはありません。