vol.06 各種モード・スケールの枠組みについて ~マイナー系~
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では、vol.06、やっていきましょう。(※前回vol.05はこちらから)
前回は、メジャー系モード・スケールの構造を確認したので、今回はマイナー系のものを見ていきます。
基本的な概要や考え方自体は、メジャーもマイナーも同じなので、早速、指板上でスケールを見ていきましょう。
まず最初に確認ですが、メジャー系の基本スケールとして載せたアイオニアンの形はこうでしたね。
※Cアイオニアン(メジャー)スケール
これはこれでいいのですが、今回は、マイナー系の基準スケールであるエオリアン(ナチュラルマイナー)スケールと対比させやすくする為に、アイオニアンをこの様に見てみましょう。
※アイオニアンスケール(3ノート・パー・ストリング)
これは、『3ノート・パー・ストリング(1本弦上で3音ずつ音を配置)』の弾き方ですね。
インターバルとしては低い方の弦から、
・tonic、M2nd、M3rd(※6弦上の音)
・P4th、P5th、M6th(※5弦上の音)
・M7th、tonic(octave)(※4弦上の音)
となっています。
次に、マイナー系の基準スケールである、エオリアン(ナチュラルマイナー)を、1オクターブのブロックで見てみるとこんな感じです。
※エオリアン(ナチュラルマイナー)
アイオニアンとエオリアンのインターバルを見比べてみると、
・アイオニアン
tonic、M2nd、M3rd、P4th、P5th、M6th、M7th
・エオリアン
tonic、M2nd、m3rd、P4th、P5th、m6th、m7th
となっていて、エオリアンは、アイオニアンから見ると3、6、7度が半音低くなっていますね。
この違いについては、指板上でこの様に見るとわかりやすいでしょう。
ここまでのアイオニアンとエオリアンの違いは、モード奏法に限らず、基本的な音楽の仕組みとしても重要な部分です。
別で配布している教材でも、同じ様な事は解説していますが、キーやダイアトニックコードとも密接に関わってくる所なので、ここで再度、確認しておいて下さい。
それでは、以上の事を踏まえた上で、今回の本題に入っていきましょう。
代表的なマイナー系のモード・スケールは、
・エオリアン(ナチュラルマイナー)
・ドリアン
・フリジアン
・ロクリアン(※ロクリアンは単純にマイナー系とは見ない場合もある様です)
の4種でしたね。
この内、エオリアンをマイナー系スケールの基準にするので、それと対比させる形で、他の3種を見ていきます。
各スケールのインターバルは、
・エオリアン
tonic、M2nd、m3rd、P4th、P5th、m6th、m7th
・ドリアン
tonic、M2nd、m3rd、P4th、P5th、M6th、m7th
・フリジアン
tonic、m2nd、m3rd、P4th、P5th、m6th、m7th
・ロクリアン
tonic、m2nd、m3rd、P4th、dim5th(♭5th)、m6th、m7th
となっていて、赤字がエオリアンとの違いです。
前回のメジャーの時と同じように、全7音の内、2音(こちらは2&6度)に違いが出ていますね。(※ロクリアンはとりあえず除外しておいてください)
上記のスケールからこの2音を抜くと、それはマイナーペンタになるのですが、この辺りもメジャー系の時と似た構造になっています。
実際は、似た構造と言うか、リラティブ(平行調)の関係性にある、アイオニアンとエオリアン(メジャーとナチュラルマイナー)は同じ音が抜けているのですが。
例えば、Cアイオニアンの4&7度はF&B音、対するAエオリアンの2&6度はB&F音、と言った感じです。
では、それぞれ、1オクターブのブロックで見ていきましょう。
・マイナーペンタ
・エオリアン
・ドリアン
・フリジアン
・ロクリアン
先ほど載せたインターバルの通りに、構成音が変化していますね。
次に、これらのスケールを使う事になる、マイナー系のコードですが、代表的なものとしては、ダイアトニックコードの「Xm7」と「Xm7(♭5)」が存在します。
各コードの構成音のインターバルは、
・Xm7
root(tonic)、m3rd、P5th、m7th
・Xm7(♭5)
root(tonic)、m3rd、♭5th(dim5th)、m7th
となっているので、このインターバルに値する音を“(コード側からの)枠組み”として、素直な理屈で考えると、
・Xm7上で選択できるモード・スケールは、エオリアン、ドリアン、フリジアン
・Xm7(♭5)上で選択できるモード・スケールは、ロクリアン
になります。
(※Xm7にはペンタも対応します)
エオリアン、ドリアン、フリジアンの各構成音と、Xm7のコード・トーンは、同じ度数の音(1、3、5、7度)が完全に一致しているのでバッティングしませんね。
(※マイナートライアドの『Xm(root、m3rd、P5th)』も同じく一致しています)
Xm7(♭5)に関しては、今回出てきたスケールの中では、♭5th(dim5th)の音がロクリアン以外には合いません。(※他のスケールの5度は全てP5th)
とは言いつつも、「Xm7(♭5)」と言うコードが、モーダルな意味で、単体で長く鳴っている事はまず無いので、ロクリアンと言うモードを純粋に使う事もほぼ無い、と言ってしまっても良いでしょう。
先にも書きましたが、ロクリアンはとりあえずイレギュラー的に扱うとして、エオリアン、ドリアン、フリジアンに関しては、Xm7のコード・トーンを“枠組み”とした場合、違いが2度と6度に現れていますね。
これら3種を見る時は、まずはこの2つの音に注目すればいいわけです。
さて、前回と今回で、チャーチ・モード7種と、そのスケールを使うであろうコードとの関係性を見てきました。
一般的な楽曲を構成する音楽理論(≒コーダルな観点)では、アボイド・ノートとして扱う音も、モーダルな解釈では、特性音(そのモード・スケールを特徴付ける音)として扱う事になります。
アボイド・ノートは、通常の解釈ではコードの響きを阻害する音ですが、モード奏法では意図的に多用したりもしますね。
この辺り、詳しくは次回以降の、各モード・スケール解説の時にお話ししますので。
では、今回は以上になります。
ありがとうございました。
大沼
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