【vol.46】『CoF(サークル・オブ・フィフス)』と『key(キー)』 ~その1~
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こんにちは、大沼です。
これまで色々な事を学んできましたが、この辺りで少し、『譜面(五線譜の方)』についての知識を深めておきましょう。
ギターには、「TAB譜」と言う便利なものがあるので、五線譜が読めなくても、一応どうにかなりますよね。
さらに言ってしまえば、プロとして活動するのでもなければ、別に五線譜が読めるようになる必要すらありません。
(※クラシックギターなどの曲を弾くならば別ですが)
当然、読めないよりは読めた方が断然良いのですが、「単にプライヴェートでギターを楽しみたい」と言う場合、スケールやらなんやらの基礎楽典がわかって、耳コピが出来れば、ギターを弾いていて発生するほぼ全ての問題は解決します。
(※よほど複雑な曲をやるのでなければ)
とは言え、五線譜関係にも、知っておいた方が便利な知識がありますので、その辺りを、今回は学んでいきたいと思います。
で、実際に何を学ぶのかと言うと、
『五線譜側に表記されている記号からのkey判別』
です。
これまでは主に、ダイアトニックコードとkeyの関係性からkeyを割り出してきた訳ですが、実は五線譜の冒頭に、「この楽曲のkeyはこれだよ」という表記が、すでにされているんですね。
ここで、以前学んだ「CoF(サークル・オブ・フィフス)」を使い、そのkey表記の読み方を学んでいきましょう。
さて、前置きとして、ここまでごちゃごちゃとお話ししてきましたが、有体に言ってしまえば、今回の内容は「CoFの図を使ってのkey判別法」です。
これまではコード進行ベースにkeyを考えてきましたが、実はその楽曲のkeyは、五線譜に『調号(ちょうごう)』として示してあるんですよね。
この『調号』は、英語では『key signature(キー・シグネチャー)』と呼ばれ、文字通り、『その楽曲のkeyを表す記号』の事を指します。
これは『♯(シャープ)』や『♭(フラット)』で表され、五線譜の頭に表記されます。
具体的にはこういったものですね。
ただ、key=Cの場合は何も付きません。(※理由は後述します)
これらの記号(♯と♭)の付き方にはルールがあり、それを知っている事によって、五線譜の頭を確認すれば一発でkeyがわかる、と。
音楽家は、譜面が手元に無い楽曲であれば、耳コピをして、これまでやってきたようなダイアトニックコードとkeyの関係性を元にkeyを判別します。
ですが譜面がある場合、一番最初に見るのは、この『調号』の部分です。
(※もちろんテンポやリズム表記など、他に記述があればそちらも確認します)
そして調号を見てkeyを確認してから、譜面全体のチェックに入るんですね。
keyと言うものは、その楽曲の基準になる情報なので、必ず、初期段階で確認しておかなくてはいけません。
これまでこの講座でも、結構なパート数を割いて、keyやら、スケールやら、ダイアトニックコードやらをやってきましたが、それは単純に、“音楽をやる上で超重要な要素”であるからに他なりません。
この辺りを知らないばかりに、世間のギタリスト(や音楽の知識が無い人)達は、本質的には大した問題ではない、多くの壁にぶつかるのですね。
とまあ、少し話が逸れましたが、解説に入っていきましょう。
まず、あなたの手元にある、ギター雑誌やバンドスコアを広げて、適当な譜面を見てみてください。
五線譜のみの譜面は当然ですが、TAB譜の譜面でも、まともな譜面であれば、必ず、TABの上にそれとリンクした五線譜が載っています。
下の画像は、たまたま僕の近くにあった、ギターマガジンのスコアの冒頭です。
見ての通り、TAB譜の上に五線譜がセットで載っています。
(一番上の段はヴォーカルパートで、その下の二段がギターですね)
で、ちゃんと調号もついている、と。(ヴォーカルパートの方にも同じ調号がありますね)
極端な初心者向けの講座や教本でなければ、まず間違いなく、TAB譜とセットで五線譜も載っています。
「この曲をコピーしよう」と思った時に、理論や楽典を知らないうちは、いきなり書いてあるフレーズを弾き始めると思うのですが、我々ギタリストがまず最初に確認するべきはこの『調号』になります。
そして、“keyを理解してから”弾き始めるのです。
これまで講座で学んできた様な知識を使うのに慣れてくると、keyを確認した時点で、
・使うべきスケールとその重要ポジション
・そのkeyのダイアトニックコード
などは、すぐに頭に浮かんでくる様になり、よりスムーズにチェックに入れる様になってきます。
では、譜面に調号が付いていることを確認したところで、この記号からの判別法なのですが、これには“その曲の基準スケール”が大きく関係しています。
先に結論を言ってしまうと、
『その曲のkeyから導き出される基準スケールに、♯か♭が、いくつ、何の音についているのか?』
で、調号部の表記が変わってきます。
最初の方で、「key=Cの場合は、調号が何も付かない」とお話ししました。
※key=C時の調号
これにはちゃんと理由があり、key=C時の基準スケール、=Cメジャースケールの構成音(ドレミファソラシ)には、♯も♭も付きませんよね?
なので、音程を上げ下げする記号である、♯と♭が譜面の頭に付かないのです。
で、これを見た音楽家は「この曲はCキーなんだな」と判断するのですね。
(※もしくはAmキーである可能性もあるのですが、そちらは今後やっていきます)
次に、♯が付く場合の例を挙げましょう。
とある曲の譜面を見たら、こんな調号が付いていました。
先に言ってしまうと、これはkey=G時の調号なのですが、♯が1つ付いていますね?
五線譜が読める人はわかると思いますが、F音の部分に♯が付いています。
調号と言うものは、譜面の頭に付いているわけですから、結構な強制力を持っています。
この♯の印は要するに、
『この曲を演奏するときは、F音の部分に音符が出てきたら、F音ではなく、F♯音を弾けよ』
(※オクターブ違いのF音も含む、全てのF音で)
というサインなのです。
で、残りの音には何も付いていない、と。
と、言う事は、この楽曲を構成する音階(スケール)を、仮にC音から並べるとしたら、
『C、D、E、F♯、G、A、B』
となりますね。
この音の構成をC音から見ると、Cリディアンスケールになるのですが、(※試しに弾いてみてください)もっとkey判別の観点からわかりやすく音を並べ替えると、
『G、A、B、C、D、E、F♯』
となり、Gメジャースケールが導きだされます。
※Gメジャースケール
(※3弦開放のG音を基準に見ています)
この様に、調号としての♯がF音にのみ付いていて、その他の音(G、A、B、C、D、E)にはなにも付いていない場合、その構成音的に存在するのはGメジャースケール(とそれに付随するチャーチモード)のみであり、
『調号によりGメジャースケールが表示されている=key=Gの楽曲である』
という理屈になるのです。(※こちらもマイナーキーについては後ほど)
そしてそれらの情報が“調号によって表されている”と。
これが、『調号の確認によってkeyわかる事』の基本的な概要です。
今回は解説の為に、調号を見てから構成音を割り出したり、Cリディアンを並べ替えたり、と面倒なことをしましたが、本来は♯か♭の数を見てそれだけで判断します。
その辺りはルールを覚えてしまえば、あとは慣れで一目でわかるようになりますので。
ただ、今回解説したような、“『調号』が意味している事”の理屈は理解しておきましょう。
さて、『CoFとkey』などと言うタイトルをつけていながら、CoFが一切出てこなかったわけですが、区切りがいいので今回はここまでです。
次回から“key判別にCoFの図をどう使うのか?”を解説していきます。
この辺りの知識も、パッとわかるようになると非常に便利ですので、是非、覚えておいてください。
では、また次回。
ありがとうございました。
大沼
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