【vol.49】マイナーキーことはじめ ~その1~ ナチュラルマイナースケールの基本
(※この記事の講座を含む、現在プレゼント中の教材(総数10講座~、合計1000p~)は、こちらのページから完全無料でダウンロードが可能です)
こんにちは、大沼です。
今回から『マイナーキー(とその楽曲)』について学んでいきましょう。
これまでは、ひたすらメジャーキーを元にして色々な事を学んできましたね。
ですが世の中には、マイナーキーの楽曲も、メジャーキーとの楽曲と同じくらい存在します。
それでもあえて、メジャーキーを徹底的にやってきたわけですが、その理由としては、単に「その方が、全てがわかりやすくなるから」です。
やはり、大本の基準として、あらゆる事がわかりやすいのがメジャーキー(特にCメジャー)ですし、その知識なくして、先に進む事はできません。
メジャーキーの楽曲は、これまで学んだロジックでおおよそ分析できるのですが、
(※特殊なアレンジがされてなければ)
マイナーキーの楽曲は、イレギュラー的に、使うコードやスケールを変化させるのが当たり前だったりします。
(※当たり前であるのなら、イレギュラーとは言えないかもしれませんが)
この辺り、特に独学でアドリブ理論やアレンジを学んでいると、つまづきやすい所ではないかと思います。
なので、基礎としてのメジャーキーの知識があってこそマイナーキーも理解できる、といった感じなんですね。
「ツー・ファイブの進行がどうたら」とか、「ハーモニックマイナーがこうたら」とか、そういった、一見、意味不明なことをマスターしていくのもマイナーキーでのトレーニングが重要になってきます。
さらに、ディミニッシュ・スケールや、ハーモニックマイナー・パーフェクト5thビロウ、リディアン♭7などの、謎のスケール群を使いこなせるようになる為の基本もマイナーキーにあります。
と、言うことで、当然、先に進むにつれて複雑にはなってくるのですが、一気にやろうとせずに、1つ1つクリアしていけばどうにでもなりますので。
難易度の高いものをクリアした時、謎が解けた時、使いこなせるようになった時、ギタープレイでの新しい快感が得られることでしょう。
この辺がわかると、演奏がかなり楽しくなってくるので、焦らず、じっくりと取り組んでいきましょう。
さて、ではまずは、基本中の基本として、『マイナーキーのそもそもの概念』からやっていきましょう。
と、いってもメジャーキーの時とまったく同じですが。
ここでは例として、マイナーキーを解説するときに一番わかりやすい「key=Am」でいきます。
まず、key=Amの楽曲があった場合、
・その楽曲のトーナル・センター(キー・センター)は『A音』
・その楽曲の基準スケールは『Aナチュラルマイナースケール』
と、この2つの情報が得られます。
key=Amの場合、A音を基準にして、ナチュラルマイナースケールのインターバルで音を並べて、基準となる音階を作る、と。
そしてその、ナチュラルマイナースケールの構成音を使って、楽曲の様々なパーツが成り立っているわけです。
ナチュラルマイナースケールのインターバルは、
(tonicから)全音、半音、全音、全音、半音、全音、全音
と、なっていて、A音をトニックにして音階を作ると、構成音は、
A、B、C、D、E、F、G
の7音になります。
図、Aナチュラルマイナースケール
構成音を見ての通り、AナチュラルマイナースケールとCメジャースケールはまったく同じですし、これまでも時々、
『メジャーとマイナーのキーやスケールは、それぞれ対になっているモノがあるんですよ』
みたいな事を、それとなくお話ししてきましたね。
これまで散々Cメジャーキーを例にしてやってきたのも、マイナーキーを解説していく時、対になっているAマイナーキーが一番わかりやすいからです。
調号として♯や♭が出てこないので頭でも把握しやすいですし、視覚的にも、指板上で非常に見やすくなっています。
で、基準スケールの構成音がCメジャースケールと同じ、と言う事は、そこから形成されるダイアトニックコードも同じモノが出来上がる、と言う話になりますよね?
なのでkey=Amのダイアトニックコードと、キーセンターであるA音から見たインターバルは以下のようになります。
※Aマイナーキーのダイアトニックコード(トライアド / 4和音)
Ⅰm (Ⅰm7) Am (Am7)
Ⅱm(♭5) (Ⅱm7(♭5)) Bm(♭5) (Bm7(♭5))
♭Ⅲ (♭ⅢM7) C (CM7)
Ⅳm (Ⅳm7) Dm (Dm7)
Ⅴm (Ⅴm7) Em (Em7)
♭Ⅵ (♭ⅥM7) F (FM7)
♭Ⅶ (♭Ⅶ7) G (G7)
(※Ⅴ7云々は後ほど解説します)
この講座(ギターと音楽の教科書)のvol.30~31くらいでやった、Cキー時のダイアトニックコードと順番が違うだけでコード自体は同じですね。(※教科書シリーズまとめはこちらから)
※Cキーのダイアトニックコード
Ⅰ、C (CM7)
Ⅱ、Dm (Dm7)
Ⅲ、Em (Em7)
Ⅳ、F (FM7)
Ⅴ、G (G7)
Ⅵ、Am (Am7)
Ⅶ、Bm(♭5) (Bm7(♭5))
両者の見てくれの違いとしては、ローマ数字のインターバルに♭が出てきていることでしょうか。(♭Ⅲ、♭Ⅵ、♭Ⅶ)
これについては、指板上でインターバルを数えてみると、そうなっている理由がわかるでしょう。
図、Aマイナーキー時、Aナチュラルマイナースケールのインターバル
(※ローマ数字のインターバルに対応しているのは5弦の音です)
例えば、Aメジャーキーと対比させてみると、より、♭の付いている意味がわかりやすくなります。
図、Aメジャーキー時、Aメジャースケールのインターバル
(※こちらもローマ数字のインターバルに対応しているのは5弦の音です)
Aマイナーキーの方では、♭の付いている度数の音が、きちんと半音下がっていますね。
これらは、トーナル・センターであるA音に対する、ローマ数字でのインターバルになります。
では次に、A音をトニックとしたAナチュラルマイナースケール的な観点から、各音のインターバルを見てみましょう。
※Aナチュラルマイナースケールのインターバル
A(tonic) ⇒B(M2nd) ⇒C(m3rd) ⇒D(P4th) ⇒E(P5th) ⇒F(m6th) ⇒G(m7th or ♭7th)
こちらもAメジャースケールと対比させて、違いを確認してみましょう。
結局、上の指板図と同じことなので、そちらを見ながらでもOKです。
※Aメジャースケールのインターバル
A(tonic) ⇒B(M2nd) ⇒C(M3rd) ⇒D(P4th) ⇒E(P5th) ⇒F(M6th) ⇒G(M7th)
これらの例からもわかる通り、ナチュラルマイナースケールとメジャースケールを比べると、
3rd、6th、7thの3つの音に変化が起こっている、と言う事ですね。
このポイントは非常に重要なので、しっかり把握しておいてください。
今後、色々なところで使います。
さて、先ほどから当たり前のように出てきている、“ナチュラルマイナースケール”と言う名称ですが、これが“ナチュラル”であると言うのならば、“ナチュラルでない”マイナースケールがあるのか?という疑問が湧いてくるかと思います。
で、実際、あります。
主となるマイナースケールには3種類あって、それぞれ、
・ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)
・ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)
・メロディックマイナースケール(旋律的短音階)
と名前がついています。(※カッコ内は日本語訳)
どのスケールも、役割や使うべき状況がキチンとあるのですが、これからしばらくはナチュラルマイナースケールのことだけをやりますし、それを理解してもらえれば大丈夫です。
残りの二つは後々やりますので。
で、いま学んでいるナチュラルマイナースケールなんですが、要するに『フツーのマイナースケールなんだな』と思っていてください。
ナチュラル(自然的)なんて呼ばれているくらいなので、そういうことです。
3種あるマイナースケールの基本形ですね。
後、最後に、以前(講座のvol.21、22辺りで)やった、チャーチモードのスケールが7種ありましたよね。
その中の、「エオリアンスケール」と「ナチュラルマイナースケール」は同じものです。
名前が違うだけですね。
この辺りは、単にカテゴライズされた時代や国、言語が違うことによるものだと思うので、
エオリアンスケール = ナチュラルマイナースケール
と、さっくりこの認識でいてください。
では今回は、この辺りにしておきましょう。
ローマ数字やら、英語やら、新しい単語やらが沢山出てきて、読んでいて知恵熱が出て来ているかもしれません。
以下、今回のまとめです。
key=Amとあった場合、
・その楽曲のトーナル・センターは『A音』
・その楽曲の基準スケール(基準ダイアトニックスケール)は『Aナチュラルマイナースケール』
key=Amの楽曲のダイアトニックコードは、
Ⅰm (Ⅰm7) Am (Am7)
Ⅱm(♭5) (Ⅱm7(♭5)) Bm(♭5) (Bm7(♭5))
♭Ⅲ (♭ⅢM7) C (CM7)
Ⅳm (Ⅳm7) Dm (Dm7)
Ⅴm (Ⅴm7) Em (Em7)
♭Ⅵ (♭ⅥM7) F (FM7)
♭Ⅶ (♭Ⅶ7) G (G7)
・AナチュラルマイナースケールとCメジャースケールは構成音が同じ
・AマイナーキーとCキーの楽曲のダイアトニックコードも(出てくるコード自体は)同じ
・ナチュラルマイナースケールとメジャースケールを比べると、3rd、6th、7thの3つの音が変化している
(※↑重要です)
主となるマイナースケールは3種類、
・ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)
・ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)
・メロディックマイナースケール(旋律的短音階)
がある。
・チャーチモードのエオリアンスケールとナチュラルマイナースケールは同じもの
と、こんなところですね。
いきなり全てを把握するのは大変なので、今後使っていく中で、1つ1つ身につけていきましょう。
では、次回に続きます。
ありがとうございました。
大沼
この記事へのコメントはありません。