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【ギターと音楽の教科書】vol.38『ダイアトニックコードの分類、T、D、SD ~その1~』

【vol.38】ダイアトニックコードの分類、T、D、SD ~その1~

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※前回vol.37はこちら

こんにちは、大沼です。

前回、ついに自力での耳コピにチャレンジしてもらいました。

最初は時間が掛かるかも知れませんが、やってみたら、意外とどうにかなるもんです。

いきなり小難しい曲をやるのではなく、シンプルな曲からコピーしていって徐々に耳を慣らしていくのが耳コピ上達のポイントです。

僕は中学生の時に、ジャズギタリストのウェス・モンゴメリーを耳コピしようとして、さっぱり聴き取れずに、一度挫折したことがあります。

今思えば、全然身の丈に合っていない曲をやろうとしていて、そりゃ出来なくて当然だよって感じですが。

しかもその頃は音楽理論はもちろん、スケールもペンタくらいしか知らなかったですし。

知識がなさ過ぎて、その時聴き取っていた音源のピッチが、基準ピッチ(多くはA=440Hz前後)から結構離れている事にも気が付かず、「なんか合わねーなー」とか思っていました。

とまあ、先にもお話しましたが、耳コピのスタートアップの段階では聴き取りやすい曲を選ぶ、というのは結構大事です。

じゃないと、僕のように、本来必要のない挫折をする可能性がありますからね。

やりやすいジャンルとしては、パンク系、ロック系、ハードロック系、後はバンドスタイルのポップス、といったとこですね。

この辺は、曲にもよりますが、比較的シンプルな構成になっていることが多いので。

「どうしてもやりたいんだ!」と言う曲が、一定以上の難曲だったとしたら僕は止めませんが笑、それなりに時間が掛かるであろう事は覚悟しておきましょう。

さて、では今回は、引き続き“Photograph”をサンプルに、楽曲分析のポイントを学んでいきましょう。

今回のテーマは、タイトルにもある様に、

『ダイアトニックコードの、トニック、ドミナント、サブドミナントの分類』

です。

これをわかっていると、楽曲の構造が判別しやすくなり、展開が予測できるので、曲中での「コード進行の流れ」みたいなものが一目でわかるようになったりします。

もちろん、コピー、アドリブ、分析と、全ての行為に通じる知識なので、きっちりとマスターしていきましょう。

ではまず、これまで見てきたダイアトニックコードなのですが、これら7種のコードは、機能として大きく3つの種類に分けることが出来るのですね。

そして、それぞれに役割のようなものがあり、そのコードを鳴らすと、次はこの様に進行したくなる、といった性質があるのです。
(※正確には、特定のコードに進行したくなったり、どのコードにでもいけたりする、と言った感じ)

その分類の大きな括りがタイトルにもあるように、

・トニック(コード)     (tonic)
・ドミナント(コード)    (dominant )
・サブドミナント(コード) (subdominant )

の3つ。

それぞれ頭文字をとって、書籍などでは、

トニック→T、ドミナント→D、サブドミナント→SD

と、表記されていたりします。

で、ダイアトニックコードの7つを、そのコードの機能(種類)によってそれぞれに割り振ることが出来る、と。

大まかに、3つの分類を説明すると、

トニックコードは、スタート地点だったり、帰って来る家(ホーム)のような機能のコードです。

コード進行は、(多くの場合)トニックコードに始まり、トニックコードに終わると言うことですね。

次に、ドミナントコードは、そのコードを鳴らすと、すごくトニックコードに
進行したくなる(感じになる)コード
です。

トニックコードを家とするならば、曲が始まったら(家から出かけたら)、最後にはトニックコード(家)に帰ってきますよね?

ドミナントコードは、鳴らすと「ああ、そろそろ(トニックに、家に)帰ろうかな」という様な感じになる
性質のコード
、と言うことです。

最後にサブドミナントコードですが、これは、

ドミナントコードほど、家には帰りたくはならないけど、「まだ、出かけてようかな?でも、別にもう家に帰ってもいいな」という様な、比較的自由な進行感のあるコードです。

ドミナントが「とにかく家(トニック)に帰りたい!」というコードだとしたら、サブドミナントは「まあ、別にどっちでもいいけど」という若干強制力の緩いコード、ということですね。

もう少し音楽的に聴覚上の話をすると、

・トニック→安定
・ドミナント→不安定
・サブドミナント→少し不安定

というように人間は聴いて感じる、と捉えてもらえればOKです。

人間の聴覚としては、基本的には『安定したくなる(=トニックに行きたくなる)』ので、ドミナントコードで不安定さを感じたら、安定したくなりますし、

サブドミナントコードでの多少の不安定さならば、「まだ行ける」のか「もう帰ろう」とするのかは自由、と言うことですね。

一般的な楽曲のコード進行は、主にこれら3つのコード分類によって、展開や進行感をコントロールされています。

では次に、ダイアトニックコードの、どれがどの分類とされるのかを見ていきましょう。

これまで通り、メジャーキーでの解説です。

まず、ダイアトニックコード7つの内、「主要和音」とされる3つのコードがあります。その3つのコードとは、キーに対してⅠ度、Ⅳ度、Ⅴ度にあたるものです。

※主要和音(Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ)

Ⅰ(ⅠM7)
Ⅱm(Ⅱm7)
Ⅲm(Ⅲm7)
Ⅳ(ⅣM7)
Ⅴ(Ⅴ7)

Ⅵm(Ⅵm7)
Ⅶm(♭5)(Ⅶm7(♭5))

この3つがそれぞれ、

・Ⅰ度→トニックコード
・Ⅳ度→サブドミナントコード
・Ⅴ度→ドミナントコード

に分類されます。

Ⅰ (ⅠM7) →トニック
Ⅱm(Ⅱm7)
Ⅲm(Ⅲm7)
Ⅳ(ⅣM7) →サブドミナント
Ⅴ(Ⅴ7)  →ドミナント

Ⅵm(Ⅵm7)
Ⅶm(♭5)(Ⅶm7(♭5))

ダイアトニックコードのつは、このⅠ、Ⅳ、Ⅴ度のコードを基準に分類していくのです。

ここで前回の課題曲、“Photograph”を例に、具体的にこの3つのコードが、どう使われているのかを見ていきましょう。

まず“Photograph”のキーはAだったので、ダイアトニックコードはこの様になり、その内のT、D、SDにあたるⅠ、Ⅳ、Ⅴ度のコードは以下の3つですね。

key=A ダイアトニックコード

Ⅰ、A(AM7)トニック
Ⅱ、Bm(Bm7)
Ⅲ、C♯m(C♯m7)
Ⅳ、D(DM7)サブドミナント
Ⅴ、E (E7)ドミナント

Ⅵ、F♯m(F♯m7)
Ⅶ、G♯m(♭5)(G♯m7(♭5))

そして前回載せた譜面の一部を見てみると、

まず曲のスタートである、1小節目がトニックコードであるAのコード。

次に5~8小節目をみてもらえればわかりますが、key=Aに対する、

サブドミナントであるDコード→ドミナントであるEコード→トニックであるAコード

と、SD(少し不安定)→D(不安定)→T(安定)のスムーズな流れになっています。

サブドミナントは、感じとしては不安定そこまで強くは無いので、まだトニックに行かずに、他のコードに進んでも良いわけです。

そして次にドミナントに進んで、不安定感を強くして、トニックに行きたくなる(安定したくなる)、と、こういう事ですね。

先ほどもお話しましたが、人間は基本的には安定したくなる(安定を感じたくなる)わけです。

なので、コード進行というものは、多くの場合、どうにかこうにかして、安定まで持っていくようなものになっている(ことが多い) と言うことです。

我々も、家から出かけるとしたら、色々と用事を済ませて、その内家に帰ってきますよね?

音楽もそれと同じです。

そしてこれらのコードの機能を理解して、

・時にはすぐに帰ってみたり、
・別の家に行ってみたり(転調など)、
・ずーっと家に帰らないでみたり、と

様々な感じ(雰囲気)を表現する(1つの技法)のがコード進行であり、コードアレンジである、とそういうことです。

その為のベースとなる知識が、今回のトニック、ドミナント、サブドミナントの分類なのですね。

それでは、今回は以上になります。

次回は、残りの4つのコードの分類と、事例として、引き続き“Photograph”を例に、その他の部分のコード進行の分析をしていきましょう。

ありがとうございました。

大沼

※次回vol.39はこちら

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名前:大沼俊一

ギタリスト、音楽家、ギター講師



~全てのギタリストに音楽の基礎教育と、
音楽を学ぶ事の楽しさを~


このブログでは「僕自身が独学で学んでいた頃、こんなことが知りたかった」と言うテーマで発信しています。

音楽そのものの構造を何も理解せずに、がむしゃらにコピーをしていくのもありと言えばありですが、どうしても練習効率が悪くなりがちです。

この先、どんなジャンルに進むにしても必ず役に立つ、ギタリスト必修の知識を、早い内に身に付けてしまいましょう。

ギターテクニックと、感性、知識、音楽理論を結び付ける事が、圧倒的な上達スピードを生み出す秘訣です。


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