【vol.24】7つの音階、7つのコード
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こんにちは、大沼です。
ここ数回のテキストでは、メジャースケールの構成音上に出来上がる、チャーチモードの7ポジションを学びましたね。
これまでやってきた各種スケールトーレニングは、基礎中の基礎の練習として日々の練習に組み込んでおき、出来るだけ、何かしら毎日弾くことを習慣にしてしまいましょう。
「朝起きたら1回スケールを弾く」くらいの勢いで続けていると、ウォーミングアップとしても最適ですし、記憶にも定着しますので。
さて、と言う事で今回は、それらを踏まえた上で、音楽の構造上重要な『7つのコード』についてやっていきましょう。
メジャー(アイオニアン)スケールを含む、チャーチモードの7種類のスケールは7音で構成されていましたね。
これまでは、その7音の中から、最初に弾く音をトニックと見立てて各スケールポジションを練習して来ました。
ですが今回は、それらの7音を、それぞれコードのルート(root)音と見なしてコードを構成していきます。
具体的な考え方としては、各スケールの最初の音をルートに設定して、そこから1音おきに音を積み重ねていく、と、こう言う事になります。
これは例えば、Cアイオニアン(メジャー)スケールで言えば、最初のC音をルートに設定して、スケールの構成音(CDEFGAB)を、C音から1音おきにC、E、Gと積み重ねると、C(メジャー)のコードが出来上がる、と、こんな感じです。
ここからさらに、C、E、G、B、と、B音まで、1音おきに4音積み重ねると、CM7というコードが出来上がります。
同じように、次はD音をルートにして、Dドリアンスケールの構成音(DEFGABC)を、D音から1音おきに積み重ねると、D、F、A、でDmのコード、さらにD、F、A、Cの4音でDm7のコードが出来上がります。
と、こんな要領で、他のチャーチモード上でも、トニックをルートにコードを作っていくと、合計で7つのコードが出来上がるのです。
そして、その出来上がった7つのコードの事を、『ダイアトニックコード』と呼ぶ、と。
Vol.18で少し解説した、『ダイアトニックスケール(=全音階的な音階)』の構成音で出来ているコードなので『ダイアトニックコード』と呼ばれている様です。
日本語的には『全音階的な音階(上)で構成されたコード』みたいな感じでしょうか。
さて、ここで疑問に思うであろう事として、『なぜコードを構成するにあたって、1音おきに音を重ねるのか?』という事が出てくると思います。
そこをざっくりと説明すると、「音」は空気(などを伝わった)の振動(を人間が聴覚で感じ取っているもの)なので、それぞれの音には、その振動(音の場合は音波)の『周波数』がありますよね。
『協和(音)』、『不協和(音)』みたいな言葉を聞いたことがあるかと思いますが、要するに、
『2音以上を同時に鳴らした場合、それぞれの音波(の周波数比)が(比較的)上手く重なる(整う)のが、1音おきに重ねる方法』
と、簡単に説明するとこんな感じです。
(※うまく重ならなければ音は濁るので)
実際の演奏上では、例外(と言うか拡大解釈のようなもの)も色々ありますが、現段階では、上記のように考えてもらえればOKです。
これについては、長々とここでお話しするよりも、専門の書籍やウィキペディアなどを見た方が正確な解説がされていると思うので、詳しく知りたい場合は、「和声」や「和音」、「倍音」などのキーワードで調べてみてください。
と、言う事で、概要の解説はこの位にして、今回の主題である、メジャースケールの構成音上に出来上がるダイアトニックコードを全て見ていきましょうか。
解説のベースにするスケールは、いつものようにC音をトニックに見たCメジャー(アイオニアン)スケールです。
これが一番、出てくる音や、その変化が分かりやすいので。
ではまず、コード(和音)の最もベーシックな構造としては、『低い音から順に積み重ねる』というものですね。
例えば、先ほど例に挙げた、Cアイオニアンスケールから構成されるCコードでは、下からC、E、G(ド、ミ、ソ)と音を重ねていくわけですね。
これを楽譜(五線譜)上で見るとこうなります。
インターバル的には1度(root)、3度(M3rd)、5度(P5th)と順に音が積みあがっています。
この音の重ね方を基本とした場合、ピアノなどでは、普通に低い音から鍵盤を押していけばいいのですが、ギターの場合、楽器の構造上、純粋に下から1音ずつ積み重ねるヴォイシングが難しい場合があります。
例えば、ギターではお馴染みの、メジャーコードを押さえるこのヴォイシングがありますね。
この場合、鳴っている音自体は、C、E、Gの3音(3種類)なので、コードとしては『C』で良いんですが、音の積み重なり方としては、下から1度(C)、5度(G)、1度(C)、3度(E)、5度(G)、という並びになっています。
これは、「どちら(の音の積み重ね方)が良い、悪い」と言った話ではなく、
『ギターという楽器は構造上、コードを鳴らす場合、特殊な音の重なり方になる事が(多々)ある』
と言う認識をしておいてほしい、と、言う事です。
なので、純粋に、1、3、5度の順番で、Cコードの構成音を重ねたい場合、ギターのヴォイシングとしては、この様な感じになりますね。
(※上の五線譜上の音を出せるフレットは他にもあります)
これらの、ルート音(トニック)に対する、3度(M3rd & m3rd)と5度(P5th)の位置関係は、この【教科書】のVol.7~Vol.9辺りで、基本的なトライアドのヴォイシングはVol.9~Vol.11辺りで学んでいるので、認識が怪しい場合は復習しておきましょう。
次に、ここまでは3和音の話でしたが、さらにもう1音足して4和音を構成したい時、1音おきに重ねる場合は、Cアイオニアン上ではC、E、G、BでCM7コードが構成されますね。
このCM7の構成音を、純粋に下から(低い音から)積み上げる場合はこうなります。
ですが、ギターでお馴染みの、メジャー7thコード(XM7)の以下の様なヴォイシングだと、この様に、
1度(C)、5度(G)、7度(B)、3度(E)、5度(G)の順番になっています。
この辺り、必ずしも、低い音から「1→3→5→7(度)」と順番に音を重ねなくてはならないわけでは
ありませんが、『今、自分が鳴らしているコードがどういった状態なのか?』は、常に把握して
おきましょう。
トライアド(3和音)程度であれば、低い音から順に音を積むヴォイシングもある程度はどうにかなりますが、もっと複雑なコードになったりすると、音の順番を入れ替えたヴォイシング以外は現実的ではない場合がほとんどですので。
と、言う事で、Cアイオニアン(Cメジャースケール)上に構成されるダイアトニックコードは、
3音構成(3和音)、C、E、G → C
4音構成(4和音)、C、E、G、B → CM7
となっています。(※スケールの構成音C、D、E、F、G、A、BのC音から1音おき)
ルート音から1音おきに積み重ねていった時に構成される4和音の場合、出てくる4音目は、ルート音(トニック)から見ると7番目(7th)の音ですね。
この7thにも3rdと同じように、M7thとm7th(もしくは♭7thとも表記)があり、4和音(ここではセブンス(系の)コード)の場合はどちらかが入っています。
『4和音』という言葉それ自体は、広義では、文字通り、4つの音で和音を構成している状態を指す様なので、必ずしも「4和音=通常のセブンス(系の)コード」というわけでは無い様です。
ですがここでは、ダイアトニックコードの解説なので、便宜上、『ルートから1音おきに4音積み重ねていったコード』として『4和音』という括りにしています。
(※言葉の分類としては、3和音はトライアド(メジャー&マイナー)、トライアドに7度を付加したセブンス(系の)コードは7の和音などと呼ばれます)
この辺りの仕組みはまだ解説していないので、良くわからなければ、今は単純に、
『それぞれのスケールから、どんなコードが構成されるのか?』
だけを覚えてしまいましょう。
(※『Cアイオニアン上ではC、CM7のコードが構成される』と言った感じで)
詳しくは後々やりますので。
では、同じように残りも見ていきましょう。
・Dドリアンスケール上に構成されるダイアトニックコード
(※スケールの構成音D、E、F、G、A、B、CのD音から1音おき)
3音構成(3和音)、D、F、A → Dm
4音構成(4和音)、D、F、A、C → Dm7
これらのコードを、先ほどのCコードの時と同じように、純粋に低い音から積み重ねた場合、ギターの指板上で鳴らす場合は、以下の様な音の配置になってきます。
※DmとDm7を低い音から順に積み重ねたヴォイシングの一例
これは、こう押さえろ、というものではなくて「ピアノなどで下(ルート音)から順に音を鳴らしていった様な状態」をギターで無理やりやろうするとこんな感じ、という例です。
見ての通り、トライアドの方はまだ現実的なヴォイシングですが、セブンスコードの方は、相当手が大きい人でもない限り片手で押さえるのは無理がありますね。
(※ものによっては普通に押さえられることもあります)
前の方でも少し話しましたが、ここで確認して欲しいのは、『ギターでは一般的』なヴォイシングは、五線譜上で見ると、特殊な音の重なり方をしている場合が多い、と言う事です。
さらに、いつも当たり前に鳴らしているヴォイシングとは別に、『純粋に低い音から順番に積み重ねていった場合、ギターの指板上では、音の配置がどの様になるのか?』も知っておいて欲しい、と言う事ですね。
こう言った事も理解していると、スケールポジションが良く見えるようになったり、前後のポジションの繋がりが分かる様になったり、アルペジオの形が把握しやすくなったり、ダブル・ストップなどの小さな単位での重音フレーズが作りやすくなったりと、まあ良い事があります。
結局、これまで学んできた事も、これから学んで行く事も、最終的には『プレイの自由度を上げる為』という部分に繋がって行く訳なので、色々な方向から音楽の構造を見ていける様になっておきましょう。
残りのコードも『低い音から順に積み重ねたヴォイシング』と同時に見ていきます。
・Eフリジアンスケール上に構成されるダイアトニックコード
(※スケールの構成音E、F、G、A、B、C、DのE音から1音おき)
3音構成(3和音)、E、G、B → Em
4音構成(4和音)、E、G、B、D → Em7
・Fリディアンスケール上に構成されるダイアトニックコード
(※スケールの構成音F、G、A、B、C、D、EのF音から1音おき)
3音構成(3和音)、F、A、C → F
4音構成(4和音)、F、A、C、E → FM7
・Gミクソリディアンスケール上に構成されるダイアトニックコード
(※スケールの構成音G、A、B、C、D、E、FのG音から1音おき)
3音構成(3和音)、G、B、D → G
4音構成(4和音)、G、B、D、F → G7
・Aエオリアン(Aナチュラルマイナー)スケール上に構成されるダイアトニックコード
(※スケールの構成音A、B、C、D、E、F、GのA音から1音おき)
3音構成(3和音)、A、C、E → Am
4音構成(4和音)、A、C、E、G → Am7
・Bロクリアンスケール上に構成されるダイアトニックコード
(※スケールの構成音B、C、D、E、F、G、A、のB音から1音おき)
3音構成(3和音)、B、D、F → Bm(♭5)
4音構成(4和音)、B、D、F、A → Bm7(♭5)
以上7つのコードを覚えておきましょう。
後、もう一つ重要なのがスケールとコードが出てくる順番で、
1、Cアイオニアンスケール → C、CM7
2、Dドリアンスケール → Dm、Dm7
3、Eフリジアンスケール → Em、Em7
4、Fリディアンスケール → F、FM7
5、Gミクソリディアンスケール → G、G7
6、Aエオリアンスケール → Am、Am7
7、Bロクリアンスケール → Bm(♭5)、Bm7(♭5)
と、基本の順番として、こうなっている事も把握しておいてください。
これまた途中で少しお話ししましたが、Vol.7~Vol.11、Vol.18などで学んだ、インターバルやトライアド、その他これまで覚えた各種スケールなどなど、現時点で知っている事と結び付けていく様にすると、早い段階で覚えられるでしょう。
さて、ここまでの内容で、ギターのプレイ面と直結する様な知識はある程度学んだので、これから数回に渡って理論(主にそれらの使い方)についてやっていきます。
具体的には、
・ダイアトニックコードの役割
・楽曲のkeyについて
・keyとダイアトニックコードの関係
・keyとスケールの関係
・正確なインターバルの捉え方
と、こんなところです。
これだけを言われても今はよくわからないかも知れませんが、どれも過去に学んできたことの延長線上にあり、全てが繋がっているので、キチンとやっていけばわかるようになりますので。
この辺りを理解しておくと、なぜ上級者が、
・耳コピが出来るのか?
・耳コピ(聴音、採譜)のスピードが速いのか?
・アドリブの時に使うべきスケールがわかるのか?
などといった事の理由もわかってきます。
最初はちょっと大変かも知れませんが、慣れてしまえばそこまで難解なものでもないので、頑張っていきましょう。
なんだか最近、「頑張って」とかの精神論が多いような気がしますが、まあしょうがないです。
この辺りは純粋に覚えるしかないですからね。笑
ではまた次回。
ありがとうございました。
大沼
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