どうも、大沼です。
いつかの記事で、アドリブの上達法を例に、どちらかと言えばテクニック寄りのアドバイスをしましたね。
なので今回は、知識(特に音楽理論)の方を、僕たちはどのように捉えたらいいのか?
もう一度、お話ししてみたいと思います。
それでは、いってみましょう。
■音楽理論(知識)はガイドである
まず、昔からある(?)『音楽理論の必要、不要論』ですが、これは,
『絶対に学んだ方が良い』
です。
いつかのブログや、【教科書】の「はじめに」にも書きましたが、音楽理論とは、
「人がそれを聴いた時、どのように感じるかを言語化したもの」
なので、思いっきり『感性の話』なんですよね。
なので「音楽理論を学ぶと感性が鈍る」とかは基本的に無いです。
(むしろ上がります)
例外としては、あまりにも、学び方や知っている範囲が中途半端すぎるか、学んだものを実践的に“使って、もしくは使えていない”場合、
「学ぼうが、学ぶまいが大して変わらない状態」
になっている人はいるかと思います。
(僕は昔これになっていました苦笑)
ただこれは、言ってしまえば「感性が鈍る」というよりは、「まだ感性が育っていない」状態ですね。
なので、理論を知っているかどうか?に感性が左右されているわけではありません。
(ただ、「理論が絶対的に正しいもの」みたいな解釈をしてしまうと、少し危険ですが)
もう、現代で使われている理論というものは、紆余曲折あれど、人類の音楽史において、少なくとも数百年以上は継続して扱われてきた、ある意味「ハズレのない知識」なのです。
だからもう、スケールもキーもコードも、その組み合わせ方も、知っているに越したことは無いし、ちゃんと学べば必ず役に立つのです。
ただ、
『いま、あなたにどんな知識がどのくらい必要なのか?』
だけは、「やりたいことの内容とレベル」によるんですよね。
いわゆる、普通のポピュラーミュージックを、滞りなく演奏、理解したいのであれば、メルマガで配布している【教科書】の内容で言うならば、
『全80回分のテキストの内、vol.57(マイナーキーのアナライズ)くらいまでは必須』
です。
これで、普通のポップス、ロック辺りなら7~8割はいけるでしょう。
ジャズの楽曲も、シンプルなものならば、1曲の中のコード進行が、半分くらいは理解できるかもしれません。
逆に、もう少し高度なロック、ポップスや、ジャズ、フュージョン系をちゃんと弾きたいのであれば、
【教科書の内容全て】と、【モード奏法の内容全て】
が理解できていれば、ジャンルを問わず、おそらく、世の楽曲の8割以上は、自力でアナライズから理解までできると思います。
(※ここまでの知識がないとジャズ等は演奏できない、という意味ではありません)
これは要するに、世の中にあるポピュラーミュージックの理論(書)の、ほぼ全て(に繋がる基礎)を習得した状態と言っても良いかもしれませんね。
そしてここから、
『これらの知識を、スピードが伴った状態で扱えるかどうか? (初見演奏や素早い採譜、アドリブで瞬時に実演など)』
が可能かどうかは、単純に訓練次第です。
で、ここまでお話しして、もしかしたら、
「理論を全然知らないのに、なんでも弾ける人いるじゃん」
と思っている人もいるかもしれません。
実際、こういう人はたま~にいます。
ただですね、自然にこの状態になるには条件があって、
『凄まじい数のコピー』
が必要なんですよね。
もしくは、
『幼少期からの(それなりにハード目な)音楽教育』
とかでも良いかもしれません。
前回もお話ししたように、要するに、世間一般で扱われる音楽というのは、ある程度「パターン化」しているわけです。
民族音楽と西洋音楽の話でも言いましたが、
・基本的には12平均律の全12音を使う
・この12音から、人が聴いてて心地よい組み合わせを作る
とやっていると、どうしても「パターン」が出来てきますよね?
「循環コード」なんて、その最たるものです。
そして、凄まじい数のコピーをしてきた人は、その「パターン」が身体と耳に染みついているわけです。
幼少期から音楽教育を受けてきた人も、まあ雑に言ってしまえば、沢山曲をコピーしてきた、という状態と同じです。
だから、人によって程度の差はあれど、聴いただけでパッと弾ける、という状態になるわけですね。
で、
「なら、理論勉強しなくても、そっち目指せばいいじゃん」
と思うかもしれません。
それはそれで、その人の自由なのですが、一つ言いたいのは、
「コピーだけでその状態になるには、多分、 今あなたが思い浮かべている曲数の、数倍~数十倍くらいはコピーする必要があると思うよ」
という事です。
もちろん、一つのジャンルに絞るなどすれば、特定のジャンルや難易度に収まる曲であれば、もう少し早く「聴いただけで弾ける状態」になれるかもしれません。
でも、これほど理論の面も勉強しやすい時代になったのに、あえて学ぼうとしない理由も僕にはよくわかりません。
実際に、音楽全体の理解や演奏のクオリティ、実行スピードを上げる方法として、理論はとても役に立ちますから。
コピーなどは当たり前にやるとして、理論もやった方が、圧倒的に成長はやくなるだろうに、と思います。
ただ、それらを踏まえた上でも、多くの人が思うであろうことが、
「意外と学ぶべきものの量が多いなあ」
という事かもしれませんね。
ここに関してはもう、地道に、少しずつ、ゆっくりと、としか言えません。
達成の為の条件としては、「確実に継続する」の一つだけです。
先ほど、
「こういうことが出来るようになりたければ、僕の配布した教材で言えば、この辺りまでは学ぶべき」
とお話ししました。
ただ、あれらのテキストは、覚えておいてほしいこと(スケールポジションとかコードヴォイシング)は、
「これを覚えてください」
と実際に書いているので、なかなか先に進めない人もいるかもしれません。
でも、当然、いきなり全部は無理なので、
・一つのテキストに載っているものを全部覚えてから進む
ではなくて、
・現代で採用されている、音楽の仕組み(や構造、ツール)をなんとなーく把握する
くらいの感覚で、どんどん進んでしまってOKです。
むしろ、「一度やって、また復習する」方が覚えます。
仮に、毎日3時間、必ず練習できる様な生活をしていたとしても、あれらの教材に乗っているコードやスケールの「形を覚えるだけ」で、半年~1年くらいはかかるかもしれない。
(※この辺りは、これまでの経験と、取り組む練習メニューによって、習得にかかる時間は変わってきますが)
さらに、内容を理解して、使いこなそうとしたらもっとです。
なので、エクササイズ(練習譜例)自体は、本当に少しずつ習得していく感覚でいい。
例えば、なんとなーく、メジャーキーの曲で出てくるダイアトニックコード7種をギリギリ記憶できているだけで、コピーしたい曲のキーに合せて紙にでも書き出せば、基本的な楽曲のアナライズはできます。
(※一応、キーの知識も必要ですが、そんなに複雑なものでもないです)
これだけなら、初心者を抜け出したくらいの腕前と理解度でも出来るはずです。
(※ややこしい曲を選ばなければ)
新しいことを学ぶときは、最初はこのくらいの理解度と気楽さでいいのです。
まずは単純に覚えようとする。
でも、ちょっと触ってみるくらいでいい、1発で覚えようとは絶対にしない。
と言うか、おそらく、瞬間記憶の様な、謎の記憶能力を持つ人じゃないと1発はまず無理です。
そもそも、人間の記憶に関する機能はそういう風になっていないですから。
“忘れられる”からこそ、心身の健康が保たれているのが、僕ら人間だったりもします。
(※この辺りは詳しく話すと長いので割愛します)
そして、使いながら覚える。
繰り返し使っていくうちにさらに覚える(理解が深まる)。
もう、これだけです。
そして、今回のタイトルにもしましたが、
『理論(知識)は実演の為のガイド』
でしかないので、主眼は「使う事」に置くことです。
焦らず、一つ一つ、時間が掛かるのは当たり前、という感覚で、繰り返し、繰り返し触れていきましょう。
それだけで、いつの日か、身体に染みついていることに気が付きますから。
それでは、今回は以上になります。
ありがとうございました!
大沼
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