『知識と感情を融合させた表現が出来るギタリスト』になる為の Intelligence & Emotional Guitar

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#05すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる

どうも、大沼です。

普段もらう質問や、たまにこちらから送るアンケートなどの回答を見ると、このブログを読んでいたり、僕の各種講座に参加してくれている人は、やはり、アドリブ系の「即興で何かを弾ける様になりたい」と言う人が多い印象ですね。(※ソロ、バッキング問わず)

後は、意外と?ジャズ関係の事をやりたい人(と言うか既にやってる人)が多かったり、作曲や耳コピが出来るようになりたい、と言うものから、もっとシンプルにテクニックの悩みまで、という感じでしょうか。

前々からそうなんですが、こうして、発信側も受信側も、普通に質問を募集すると返信がもらえる、と言うのは中々贅沢な環境ですね。

もう何年も前からずっと読んでくれている人もいますし、最近メルマガやLINEに参加された人も、熱心な方が多いです。

さてさて、ここから本題ですが、日ごろ、読者さんからの質問やメッセージを読んでいて、感じた事がいくつかありましたので、それについてお話ししていきたいと思います。

では、まず一つ目なのですが、それは、

『僕が配布している【教科書】などの僕が配布しているテキストを、 最初から最後まで完璧にやろうとしなくでも良い』

と言う事です。

もちろん、やってもらえるのは嬉しいですし、一から学び始める場合は、各種教材を頭から通しでやるとスムーズに取り組めるように作ってあります。

ですが、教材に取り組むこと自体を義務のように感じたり、ある種の強迫観念のようになっているとしたら、もう少し肩の力を抜いたほうが良いですね。

いつかのブログかメールで書いたような気もしますが、各教材のイメージとしては、

『何かわからない事があった時や迷った時に頼る、 百科事典や参考書(みたいなもの)がそばにある』

と言う感じです。

基本的には、あなた自身にギターや音楽で何かしらやりたい事があり、「それを実現するサポートとしての各種スキル」を身に付けるためのものです。

なので無理やり全部やろうとしなくても良いですからね。(※もちろん自然に楽しくやれているならば、ゴリゴリ進めてもらって構いません)

例えば時々は、目次などを読みながら、興味を惹いたパートだけを眺めてみても良いでしょう。

そうすると、大体は知らない用語や分からない部分があるはずなので、そこから前に戻ってみたりしてもいいですよね。

ちなみに、その人(の目標)によって、何がどのくらい必要か?は変わってきます。

最初から通しでやるのも大歓迎なのですが、時々はもうちょっと気軽に、興味関心のおもむくまま、柔軟に使うのもアリですので。

後は、もし「教材をやっているだけで、その日の練習が終わってしまう」と言う場合は、元々、自分がギターでやりたかった事や、好きな曲、プレイの練習と、教材などでの学習に使う時間のバランスを考えてみましょう。

僕個人としては、「何かを学んだり覚えたりする事」と、「ギターで弾きたいものを弾ける様にする練習」の比率は、3:7とか2:8とかです。(※「座学」よりも「ギターのテクニカルな練習」の方を沢山やっています)

新しいスケールやコード等を覚えたり、手に馴染ませる事などは、その日の最初のウォーミングアップに取り込んで、時間の無い日で15分~30分~1時間くらい、余裕のある日でも2時間くらいで切り上げます。(※ホントにヒマな日はもっとやってる事もありますが)

そして、あとは普通に、楽曲演奏としての練習をしています。(※こちらが最終的に出来るようになりたい事ですからね)

ちなみに、「何か新しいもの(スケールなど)を覚えよう!」と思った時は、カレンダーを見ながらスケジュールを立てると良いですね。

例えば、今から僕が、チャーチモードの7ポジションを覚えようと思ったら、「全部をそらで弾ける様になること(暗記)に1週間以内」くらいの期間は見ます。(※仮にウォーミングアップの30分程度をその練習に使うとしたら)

で、頭にポジションが入っただけでは、途中でつっかえたり止まったりするはずなので、そこから(トレーニングとして)スムーズに弾ける様になるのに、さらに1~2週間くらいは見ますね。

もちろん、これは7種をまとめて覚える為のスケジューリングなので、もっと少ない数に絞ったり、対象が他のシンプルなものであれば、日数を短縮できることもあるでしょう。

大方、新しい事に取り組む時は、

『頭に入れる(ただ覚える)のは、そこまで時間は掛からないが、ある程度自由に弾ける(それを使える)ようになるには、今、自分が想像している期間(時間)の2~3倍程度はかかる』

くらいに思っておくと良いです。

もちろん、人それぞれ特性や得意不得意、対象への好みがありますので、もしスルスルと習得できる様な事があったら、それは幸運な事だと思って受け入れておきましょう。笑

ですが、そうでないものは、「大体、自分の想像の3倍くらいの時間がかかるのが普通なんだな~」と思って、気長に取り組んでいってください。

楽器に限らず、技術として身体の動作を伴うものは、大方全部そんなもんです。

スポーツなどで何かを習得するのも同じ様に時間が掛かりますよね。(※後は料理で包丁を使う技術とかもそう)

そういった行為と同じことですので。

そして、楽器演奏の様な、知識と技術を伴うものにありがちなのですが、
『覚える為の練習だけでは、それを使えるようにはならない』
のと、
『覚えて(把握して)いなければ、それを使う練習が出来ない』
と言うジレンマがあります。

・今、自分がやっているのはどちらの訓練なのか?
・自分が最優先で達成したい、目標や目的の為に、やるべきなのはどちらなのか?

この辺りを考えながら、その日のメニューを決めていけると良いですね。

と、言う事で、普段頂く質問やアンケートを見て思った事についてはこんな感じです。

では、続いてもう一つ、

『その目標は、もはや、枝葉の対処法でどうにかなるものではない』

ということについてお話ししていきたいと思います。

さて、先ほどは、「教材に取り組む事に対してあまり気負い過ぎない」と言う事と、「練習のスケジューリング」や、「目標達成までは、ある程度期間を気長に見た方が良い」と言う事をお話ししましたね。

次の話は、それらとはまたちょっと違う話です。

これは、もしかしたら、僕のメルマガやブログの読者さんの特徴なのかもしれませんが、全体的に、読者さんの目標や達成したい事のレベルが高めなんですよね。

アンケートを見ていると、

「作曲、アレンジ、アドリブが出来るようになりたい(適当ではなくちゃんとしたものを)」

とか、

「セッションや普段の演奏で自由に弾ける様になりたい」

などなど、ある意味、

『演奏者、表現者としての最終到達点』

みたいな領域を(ある種目先の)目標にしている人が多い印象です。

まあ、「自分がイメージした通りに自由にギターが弾きたい」と言うのは、僕も含め、全ての人が思い描く理想なので当たり前と言えば当たり前ですよね。

そしてこれはある種、

『自分がどんなレベルになっても永遠に終わらないテーマ』

だったりもします。

ハッキリ言って、世界中、どんなプロに聞いても「自分はまだまだだよ」と答える様な話です。

ですが逆に、「やろうと思えば今すぐにでも出来る事」でもある所が、やっかいなんですよね。

僕らは大人になるにつれて、良くも悪くも、分別が付くようになっているので、『失敗』が怖いです。

その『失敗』をしたからと言って、実はなんにも被害はないであろうにも関わらず、どうしてもその想像が、前に進もうとする足を引っ張っていたりします。

この様な、「今までやっていなかった新しい事」を実行するのは、ある意味、楽器を始めたばかりの子供などの方が上手いかもしれません。

なにせ彼らには、怖いものが無いですからね。

僕らにしても、もし作曲がしたいなら、とりあえずメインメロディーとバックのコード進行を作ってしまえば、一応は完成です。

アレンジは、後からいくらでもできますから。

実際、プロの世界でも、「作曲者:○○」とクレジットされている人が作ったのは、実はメロディーと(初期の)コード進行だけ、みたいな話も普通にあります。(※もちろんものによります)

楽曲の完成品では、キチンと練られた状態のものが聴けますが、そのアイディアは、アレンジャー、プロデューサー、楽器プレイヤー等、フロントに立っている人とは別の人達が出したものであることも多いです。

普段、何気なく音楽を聴いていると、曲のメインとなる要素(メロディーなど)よりも、明らかにアレンジの方にプロっぽさが出ている楽曲も沢山あります。

でも「作曲者」は「メインメロディを作った人」なのです。

(※誰がどのくらい、何に関わっているのか?は、 正確には現場の人にしかわかりませんが)

アドリブだって、やろうと思えば、なんでも良いのでバッキングを用意して、その上で即興を始めれば、それはもはやアドリブです。

これで、やっている事自体は「即興演奏(=アドリブ)」なので。(※もちろんバッキング無しでも即興演奏は可能です)

どちらも、最終的な出来はともかくとして、「実行する」のは、実は簡単な話ですよね。

ただ、始めればいいだけですから。

ですが、単に「始める」と言う事にすら恐怖を感じてしまうのは、

『今の自分には早いんじゃないか、上手くできないんじゃないか』

と言う感情、そして、

『それを表に出した時(人に聴かせたりとか)の、周りからの反応』

に対して、ポジティブな想像をするのが難しいから、ですよね。

で、こう言った、

『僕らの足を引っ張る感情』

への対策を、一言でまとめてしまえば、結局は

『実力アップ』

しかありません。

そして、皆さんご存知の通り、その実力アップの方法として真っ先に上がるのは「曲のコピー」です。

実際、「コピー」の効果は絶大で、それをまったくやらない、と言うのはまずありえません。

ですが、「コピーが大事」なんてことは、この記事を読んでいるような人ならすでに知っているでしょうし、大なり小なりやっているでしょう。

でも、「コピーだけしていれば悩みはすべて解決」なんて話はどこにもなく、必ずどこかでつまずきますし、停滞もするのです。

ギターって、突き詰めると奥が深いのですが、普通に曲を弾くだけならば、勢いだけで結構いけてしまうんですよね。

教本とスコアを買ってきて、TAB譜を見ながら練習すれば、その内、誰でもある程度は弾ける様になります。

何せ、僕も専門学校に入るまでは、ほぼ、それがメインでしたからね。(苦笑)

ただやはり、コピーだけでは到達できない、

『その先』

があるわけです。

僕が配布している教材では、特定のジャンルや奏法をどうこうする、という内容をメインには扱っていません。

なぜなら、『人によって、最終的にやりたい事は違う』からです。

教える側から、「あれをやれ、これをやれ」と特定のものを押し付けるのは簡単ですが、同じ様に時間を使うならば、「あなたはほんとにそれをやりたいの?」と言う疑問が浮かぶのです。

やはり、本当にその人の為になる学習と言うものを考えた場合、「自発性」は外せない要素です。

なので今まで、

『音楽をやるならば、全ての人に必要な基礎』

を、集中的に教材にしてきたんですよね。

結局、

『ベーシックかつスタンダードな能力』

が、広く使えるし一番強いんですよ。

先に土台を大きく、しっかり作ってしまえば、上に乗せていくのは容易です。

最初に書いたような、『アドリブ、作曲、演奏を自由にしたい(しかも高いクオリティで)』というのが目標であれば、それこそ、「音楽そのもの」の知識、教養が必要です。

個別のテクニックをどうこう、とか、このコードを覚えたらOK、みたいな枝葉の話は、すでに有料、無料を問わず、世の中に教材が山ほどありますから。

ただ、アドリブでも作曲でもそうですが、「いつか」では無く「今」始めないと、いつまで経っても出来る様にはなりません。

この記事の前半で、

『覚える為の練習と、使う(使える様になる)為の練習は
 必ずしも一致しないし、両者が必要』

みたいな話をしましたが、それと同じ事です。

そして「チャレンジする事への恐怖」を超えるツールの一つが、その分野の知識とか教養だったりします。

もちろん、テクニックも力になりますが、その鍛え方については、実はすでに、あなたもかなり知っているはずです。(※完全な初心者でなければ)

それらのガイドとしては、僕のものに限らず、世の様々な教材を見て下さい。

もし、ものすごく好きな曲、ものすごく弾きたい曲があるならば、普通にコピーを始めてみましょう。

現時点ですでに弾ける(弾けそうな)ものもあれば、そうでないものもあるでしょう。

ありきたりな表現ですが、理想の状態になるには、「新しいチャレンジ」と、「継続、積み重ね」を行っていくだけですよね。

なんだか、説教みたいになっている気がしますが(笑)、ここで言いたいことを大雑把にまとめてしまえば、

『当たり前に、基礎と応用をやっていこう』

と言うことです。

人間、これ以外の近道を探そうとしがちですが、きっとそんな道は無いんですよね。

もしあったら、みんながみんな、プロ並みになってるはずですから。笑

ではでは、いつもの様に長い記事なりましたが、今回は以上です。

やはりチャレンジこそが、現状打破のカギです。

ありがとうございました!

大沼

P.S

今回のタイトルにした、

『すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる』

とは、慶應義塾大学の塾長だった、小泉信三さんの言葉です。

結局、本当の意味で効率のいい学習とは、
この言葉の要素を内包したものだと思います。

次回【#06自分の周りを優れたもので埋め尽くす】に続きます。

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プロフィール

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名前:大沼俊一

ギタリスト、音楽家、ギター講師



~全てのギタリストに音楽の基礎教育と、
音楽を学ぶ事の楽しさを~


このブログでは「僕自身が独学で学んでいた頃、こんなことが知りたかった」と言うテーマで発信しています。

音楽そのものの構造を何も理解せずに、がむしゃらにコピーをしていくのもありと言えばありですが、どうしても練習効率が悪くなりがちです。

この先、どんなジャンルに進むにしても必ず役に立つ、ギタリスト必修の知識を、早い内に身に付けてしまいましょう。

ギターテクニックと、感性、知識、音楽理論を結び付ける事が、圧倒的な上達スピードを生み出す秘訣です。


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