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【ギタリストの為のモード奏法】vol.02『コーダルとモーダルを感じてみる ~その1~』

vol.02 コーダルとモーダルを感じてみる ~その1~

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では、vol.02始めていきましょう。

前回(vol.01)は、とりあえず、「コーダル」と「モーダル」の定義を定めたところまででしたね。

この講座では、それぞれ、
・コーダル
→旋律(メロディ)よりも、和音(コード)側に主体を寄せた演奏法(or作曲、音楽作成法)
・モーダル
→和音(コード)よりも、旋律(メロディ)側に主体を寄せた演奏法(or作曲、音楽作成法)

と定義しました。

こう考えると、結局、主体を、和音(コード)と旋律(メロディ)のどちらに寄せて音楽を構築するのか?と、言う話になってきますね。

なので今回は、その音楽的な主体が、どうなっていたら、どっちに寄っているのか?を、実際にギターを弾いて感じ取っていく内容です。

では、やっていきましょうか。

■コーダルな状態を確認してみる。

前回、書籍からの引用で載せた文に、“モードとは、長調や短調などの調性音楽とは別の世界である”とありましたね。

モード(モーダル)が調性音楽とは別の世界なのであれば、コーダルは調性音楽の(調性音楽的な)世界だ、と言う事になります。

この「調性音楽」とは、要するに、我々に馴染みの深い、主に長調、短調(メジャーキー、マイナーキー)を基調としてまとまっている音楽の事です。(※配布している【教科書】で学んでいるのが調性音楽のロジックです)

実際の所、よほど特殊な環境で暮らしているか専門的な勉強でもしていない限り、世間で耳にする音楽のほぼ全てが調性音楽である、と言っても良いくらいでしょう。

ここまでの話を聞くと、「調性音楽」の反対が「モード的なもの」の様に感じますが、実は「調性(音楽)」の反対は「無調性(音楽)」になります。

調性音楽は、要するに、キー(key、調)の設定に準ずる音楽で、
・トーナル・センターとなる1音
・その1音をトニックに見た基準スケール(※メジャーorナチュラルマイナーのスケール)
・その基準スケールの構成音から導き出されるダイアトニックコード
の3つの要素で成り立っている音楽の事ですよね。

なので、上の3つの要素をハッキリさせないように音楽を構築すれば、「無調性的」になるわけですね。

ちなみに無調性(音楽)については、正直、僕自身、概要しか知っておらず、実際に触ったことも無いので、このテキストでは取り扱いません。

気になる方は、youtubeで『無調性』などのキーワードで検索すると、色々と楽曲が出てくるので聴いてみて下さい。

それで今は、『コーダル(和音的≒調性的)』と『モーダル(旋法的)』を対比させているわけですが、先ほどの引用文には「反対のもの」ではなく「別の世界」とありました。

これは後々わかりますが、実は「モーダルなもの」も、広義では「調性的な音楽」に含まれていたりします。

ただ、先に設定した定義の通り「和音よりも、旋律に主体を寄せている」ので、「コーダル」よりも調性感が緩くなっている様な状態ですね。

この「調性感」が、先ほど挙げたキー設定の3つの要素から生まれるので、それに準ずる(3要素を多く含める=縛りを強くする)とコーダル、緩めるとモーダル、に寄るわけです。

では、前置きが長くなりましたが、譜例を見ていきましょう。

譜例1、key=C、1ー6ー2ー5

毎度おなじみのCキーの進行ですね。

この4小節は、Cキーのダイアトニックコードしか出てきていないので、Cキーの調性感に準ずる「コーダルなもの」です。

これを常識的なテンポ(大方BPM60前後~それ以上)で演奏する場合、人間はどうやっても、C音を基準(トーナル・センター)にした、Cメジャースケール=CDEFGABの7音から醸し出される、Cキーの調性を感じてしまいます。

なぜ、Cキーの調性を感じるのか?についての理由は主に二つあり、一つは、CキーのトニックコードであるCM7と、ドミナント7thであるG7の「ドミナント・モーション(G7→CM7)」が存在している事。

もう一つは、各コードのコードトーンを見てみると分かります。

それぞれ、
CM7 = C、E、G、B
Am7 = A、C、E、G
Dm7 = D、F、A、C
G7 = G、B、D、F
となり、Cメジャースケールの構成音を全てフォローしていますね。

今は、7種のダイアトニックコードの内4つしか出てきていませんが、他のコードが出てきても、結局、話は一緒です。(※Cキーだと、残りはEm7、FM7、Bm7(♭5)の3種)

仮に、CM7とAm7の二つだけを見ても、CメジャースケールのCDEFGABの内、DとF以外は鳴っているので、かなりCキー的な響きに近い状態です。

そして、これらのコードが、
「常識的なテンポ=それなりに短い時間」
で切り替わり、その楽曲(範囲)は、全体でCメジャースケールの構成音しか鳴らない事になるので、Cキーの調性感を保ち続ける、
とそういう話です。

ですがここで、アドリブ理論などで出てくる、いわゆる、チャーチ・モードの表記を載せたりすると、
CM7 = Cアイオニアン
Am7 = Aエオリアン
Dm7 = Dドリアン
G7  = Gミクソリディアン
などと書かれていたりして、「ん?、スケール切り替えなきゃいけないの?」と、意味が分からなくなるわけですね。

これはこれで理屈は正しいのですが、実際は、各ダイアトニックコードと関連付いているスケール(チャーチ・モード)を弾いている限り、そのキーの基準スケールと同じ構成音を弾いている事になります。

例えばCキーなら以下の様になり、
CM7   = Cアイオニアン   = CDEFGAB
Dm7   = Dドリアン     = DEFGABC
Em7   = Eフリジアン    = EFGABCD
FM7   = Fリディアン    = FGABCDE
G7    = Gミクソリディアン = GABCDEF
Am7   = Aエオリアン    = ABCDEFG 
Bm7(♭5) = Bロクリアン    = BCDEFGA
結局、Cメジャースケール(CDEFGAB)を弾いているのと同じですよね。

なので、文字面ではモード・スケール(チャーチ・モード)を切り替えてるように見えても、全て構成音が同じなので、その楽曲(範囲)全体の調性には影響していない、と言う事になります。

逆に、上のチャーチモードの分類に反して、例えばAm7の所でAドリアン(A、B、C、D、E、F♯、G)を弾いたりすると、Cキー関係のものに含まれていないF#音が、コードの流れが醸し出している調性とバッティングするわけです。

この状態は、結局、「コード進行が醸しだす調性」に、強制力の様なものがあり、もし、この進行の上でメロディーを弾く場合、コードに対して使えるスケール(≒モード)がほぼ固定されている事になりますよね。

上の例だと、Am7の所ではAエオリアン(=Cメジャースケール)以外は、(厳密な理論的には)使えないことになりますから。

これは要するに、「コードに対して、使うスケールが自由に選べない=旋法を選べない」と言う事なので、先に定義した『和音側に主体が寄っている状態』だ、と。

これが『コーダル(和音的)である』と言う状態の基本です。

では最後に、今回の要点をまとめてみましょう。以下の様になります。

『ダイアトニックコードが一定の間隔(=一つ一つが時間的に長すぎない範囲)で切り替わる(進行する)と、楽曲(もしくはその範囲)全体を構成する音の集合体がほぼ固定されていく。

音の集合体(≒そのキーの基準スケール)が固定されていく、と言う事は、その集合体が作り出す調性(key)も(ほぼ)固定されていく事になる。

よって、使えるスケール(≒モード)もほぼ固定されていくので、パワーバランス的には、「和音側に主体がある」と言える。

これを「コーダル(な状態)」と言う』

と、こんな感じでしょうか。

さて実は、「モーダル」の解説もこのテキストに含めるつもりでしたが、コーダルの基本だけで結構な量になったので、この辺りでvol.2は終わりたいと思います。

後は他にも、例えば、

「そのキーのダイアトニックコード以外のコードが出てくる、部分転調の様な進行(CM7-A7-Dm7-G7など)はどうなるのか?」

など、もう少しお話ししたいこともありますが、それらも次に回す事にします。

ここで全部やったらテキスト量が倍くらいになってしまうので。

それでは、次回、『モーダルとはどういった状態を指すのか?』に続きます。

ありがとうございました。

大沼

※次回、ギタリストの為のモード奏法vol.03はこちらから

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名前:大沼俊一

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