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【ギタリストの為のモード奏法】vol.01『基礎の前提知識として』

※この講座はメールマガジン読者向けに連載していたもので、
全24回、PDFファイル135Pのボリュームになっています。

テキスト全編のダウンロードはこちらのページから可能です(※zipファイル)

vol.01 基礎の前提知識として

それでは、『ギタリストの為のモード奏法』vol.01、始めていきましょう。

まず、そもそも『モード』とは一体何なのか?と言う事なのですが、試しに、
ウィキペディアで「モード」と言うワードで検索してみると、
以下の様な文面が最初に出てきます。

“旋法(せんぽう、英語:musical mode、モード)とは、
旋律の背後に働く音の力学である。”

うーん・・・。

まあ、ある程度モードのロジックが分かっていて、実際に使った(聴いた)時、
聴覚的に特徴が判断できる人には、「あー、確かに。」という感じでしょうか。

これは確かにその通りなんですが、解説としては抽象度が高く、
「俺、これからモードやるんだわ。」と言う人には、
サッパリ意味が分からないでしょう。

今回、このテキストを作るにあたって、理論書などで、
もう一度モードの項を調べてみましたが、手持ちの書籍の中で、
おそらく、一番わかりやすかったのは、

“モード(mode)はラテン語のmodusが語源、音楽の世界では、
メロディーの「あり方」を示す旋法(せんぽう)の事です。

長調や短調といった調性音楽とは別の世界で、
EX-8(書内の譜例)の様に独特の節まわしのメロディーです。”

という解説でした。
(※「標準 ポピュラー音楽理論(改訂新版)  林知行著 2006 シンコーミュージック」より)

こちらの解説は、先ほどのものより具体性が高く、
ぼやっとしていたイメージが、少し鮮明になってくるような気がします。

とりあえず、要点をざっくりまとめてみると、

『長調や短調といった調性音楽とは別の、メロディーの「あり方」がある』

と、言う事ですね。

ならば、モード奏法的な事が出来るようになりたい我々が知るべき事は、

・どうやったら“調性音楽とは別(もしくは調性音楽から離れた状態)”になるのか?

・“メロディーの「あり方」”とは、どの様なもので、それをどう考え、感じるのか?

この辺りを解明して行けば良い事になりますね。

さて、ここまでの解説では、まだまだ視界不良もいいとこだとは思います。

ですが、これからこの講座で学んでいき、一定以上、
モード的な感覚を身に着けた後、もう一度、先に挙げた二文に戻ってみると、
きっと、

「なるほどね!確かにその通りだわ。良い事書いてあるなあ。」

と、感嘆すること請け合いです。

そういった、知的な、理解、到達の達成感と、覚えた事を、
現実の場で活用出来る喜びが、学習の意義ではないでしょうか。

モードは、一般的には、ある種、馴染みの薄い話だとは思いますが、
今まで聴いてきたであろう音楽とも、密接に関係しています。

今いる地点から、もう少し先に進んでみると、また違う世界が見えてくるはずです。

その世界は、過去の音楽体験と同じ様に、きっと、あなたにとっても良い世界であるでしょう。

それでは前置きが長くなりましたが、『ギタリストの為のモード奏法』、
これから一緒に頑張っていきましょう。

■コーダルとモーダル

ではまず、モード奏法を理解するにあたって、重要な用語として、

・コーダル (和音的な、コード的な、)

・モーダル (旋律的な、メロディー的な、)

というものがあるのですが、聞いたことがありますでしょうか?

モード的な事をやるには、この二つの意味、違いを把握している事が基本になります。

それぞれ詳しく見ていきましょうか。

まず『コーダル』ですが、日本語では『和音的な』と訳されています。

『和音的な(何か)』なので、「和音的な存在」が、何かしらあるわけですね。

『コーダル(chordal)』とは、いわゆる、我々に馴染みの深い、
CやDmなどの「コード(chord)」があって、そこに「al」が付くので、
『コード』+『(それ)の様な』、『(それ)に関する』みたいな意味ですね。

日本語の『的(てき)』が、射的などの「まと」の他に、『その様な性質をもった』とか、
『それに関わる』みたいな意味なので、文字通りになっているわけです。

詳しくは次に説明しますが、今回は『モーダル (旋律的な、メロディー的な、)』との
対比なので、『コーダル』を実用ベースの観点も入れて、少し強引に定義してみると、

・旋律(メロディー)よりも、和音(コード)側に主体を寄せた演奏法(or作曲、音楽構築法)

みたいな感じでしょうか。

現時点では、「コード側に主体を寄せる、ってどういう事?」と思うかもしれませんが、
その辺りの実践は、今後やっていく事になりますので。

次に、『モーダル』ですが、こちらは日本語訳としては、『旋法的な』となっています。

先ほどの「コーダル」の方は、「chord+al」で「和音的な」となり、意味が分かりやすかったのですが、
こちらは、通常、「旋律的な」とされる「メロディック(melodic)」では無いのですね。

音楽用語としては「旋法」が「モード(mode)」なわけですが、この辺り、
「コーダルとメロディック」の対比では無く、「コーダルとモーダル」の対比になっている所に、
何かしらの意図を感じます。

この辺り、使われている語をベースに考えてみると、「モード」は「旋法」なので、

律(メロディー)の手(演奏法)』

の様なイメージで、「メロディー的なものをどう操るのか?」という、
メロディーベースの手法を包括したような印象の用語になっています。

これを先ほどの、「コーダル」の最終定義とした文章と対比させると、

・和音(コード)よりも、旋律(メロディー)側に主体を寄せた演奏法(or作曲、音楽構築法)

の様になるでしょう。

最終的には、「和音寄りな音楽(構造)なのか?」、「旋律寄りな音楽(構造)なのか?」と言う話ですね。

さて、これで一応、重要な用語である「コーダル」と「モーダル」の定義が出来ました。

で、次は「じゃあ実際、どう演奏したらいいのか?」となるわけですが、
これについてはまた次回。今回はここまでです。

次回では、実際の譜例を弾きながら、「コーダルな感覚」と「モーダルな感覚」を、
それぞれ感じ取っていきましょう。

ちなみに、このテキストで設定している用語の定義は、僕自身が、
「こう考えると、一番わかりやすいんじゃないか」という個人的なものです。

音楽の世界で、(おそらく)正式に決まっているわけでは無い事もお話ししているので、
その辺りは、取り扱いに気を付けて下さいね。

解説としては、基本は「実用的であるかどうか?」と言う観点を、最も重要視しています。

説明されても、分からなかったり、使えなかったりしたら意味がないですからね。

それでは、次回に続きます。

ありがとうございました。

大沼

vol.02はこちらから

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名前:大沼俊一

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