【vol.60】ディミニッシュスケールを使う時 ~その2~
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どうも、大沼です。
前回は、コード進行の中に普通にdimコードが登場した場合のディミニッシュスケールの使い方を学びました。
引き続き、ディミニッシュについてやっていくのですが、今回は「マイナーキーのドミナント7thコードの上でディミニッシュ・スケールを使う」と言うお話です。
いつも通り、やっていきましょう。
譜例のキーは、わかりやすくkey=Amです。例えばツーファイブだとこうなりますね。
譜例1、key=Am、Ⅱm7(♭5)ーⅤ7-Ⅰm7
要するに、このコード進行で言うならば、E7の所でディミニッシュ・スケールを使ってみようよ、と言う話です。
仮に、それぞれのコードで使うべきスケールを具体的に表すならばこんな感じになります。
Bm7(♭5)とAm7については、key=Amのダイアトニックコードなので、Aナチュラルマイナー(=Aエオリアン)を基準にしたチャーチモードのスケールがそのまま当てはまりますね。
まあ、難しく書きましたが、要するに、
2つともAmキーのダイアトニックコードなんだから、その上では、AナチュラルマイナースケールやAマイナーペンタで弾けば良い
ってコトです。
他の選択肢としては、ジャズ系のスタイルなどでは、「Ⅰm7上でメロディックマイナーがどうこう」とかはありますが、今回はディミニッシュの話なので素直にAマイナーペンタなどで行きましょう。
では、今回の大事なところ。きっと譜面を見て、気になっているであろう、
『なんでE7の所で、そんなトニックのディミニッシュスケールが出てくんねん?』
という部分の解説に入っていきましょうか。
さてさて、ちょっと過去のテキストを思い出して欲しいのですが、ハーモニックマイナーについて学んだことがありましたね。(※vol.52~56の辺り)
その時、
『本来、マイナーキーの基準スケールである、 ナチュラルマイナースケールから成り立つダイアトニックコードには、Ⅴ7は入っていない』
という話をしました。
そして、
『そのⅤ7は、ナチュラルマイナーではなく、ハーモニックマイナーのダイアトニックスケールから持ってきているんだ』
とも、言いました。
なので今回の譜例で言えば、
E7 (Ⅴ7)は、Aナチュラルマイナーではなく、Aハーモニックマイナーのダイアトニックコードである
と言う事ですね。
わかりやすい様に、vol.53で載せた、両者のダイアトニックコード表をもう一度見てみましょう。
(※ほかにも、ハーモニックマイナーの5度に対応するスケールをフリジアン・ドミナント、7度に対応するスケールをオルタードスーパーロクリアンなどと呼ぶ(分類する)こともあります)
見ての通り、ハーモニックマイナーの方にはⅤ7のコードがありますね。
なぜ、ここを入れ替えるのか?については、vol.52で解説したように、Ⅰm7への解決感を強める為でしたね。(※忘れていたら復習しておきましょう)
そしてもう1つ、vol.53とvol.56で、ちょろっとだけ「一応確認だけしておいてね」みたいにお話ししていた、ハーモニックマイナーのⅦ度にディミニッシュのコードがあること。
※ハーモニックマイナー
ⅠmM7 ハーモニックマイナー
Ⅱm7(♭5) ロクリアン13th
♭ⅢaugM7 アイオニアン♯5
Ⅳm7 ドリアン♯4
Ⅴ7(♭9) ハーモニックマイナーP5thビロウ
♭ⅥM7 リディアン♯9
Ⅶdim7 オルタード♭♭7
これらのモードスケールは、チャーチモードと同じように、スタートする音が違うだけで構成する音自体は全て同じでしたね。
なので、ハーモニックマイナーのモード内に同居する、
Ⅴ7(♭9)に対応するハーモニックマイナーP5thビロウスケールと、Ⅶdim7に対応するオルタード♭♭7スケールは構成音が同じ
と言う事です。
例えば今はkey=Amなので、A音をトニックにハーモニックマイナーのモードを並べるとこうなります。
※Aハーモニックマイナーのモードスケール
AmM7 Aハーモニックマイナー
Bm7(♭5) Bロクリアン13th
CaugM7 Cアイオニアン♯5
Dm7 Dドリアン♯4
E7(♭9) EハーモニックマイナーP5thビロウ
FM7 Fリディアン♯9
G♯dim7 G♯オルタード♭♭7
で、これらのスケールは全て構成音が同じなわけです。
そうすると、次に「ディミニッシュスケールなくね?」と思うわけですが、構成音を見てみると、今学んでいる4音構成のdimスケールは、このハーモニックマイナーの構成音の中にすっぽりと入っているんですね。
わかりやすく、もろにコードがディミニッシュになっている、Ⅶdim7(G♯dim7)コードに対応するG♯オルタード♭♭7スケールを基準に見てみましょう。
図、Aハーモニックマイナースケールと、G♯オルタード♭♭7スケールとG♯dimスケールの関係
赤丸が今学んでいるG♯dimスケールの構成音なわけですが、ちゃんと最近学んでいた4音構成のdimスケールの形になっていますよね。
構成音を見てみるとG♯、B、D、Fの4音になっていて、最初の方に載せた、コード進行の上で使うべきスケール図とも一致しています。
こういった理屈(導き方)から、
「マイナーキーのⅤ7でⅦ度(M7th)の音をトニックにしたディミニッシュスケール使えるじゃん!」
となるわけです。
では、解説が長くなったので、ちょっと理屈をまとめてみましょう。
これまでの話をチャートっぽくするとこんな感じです。
1、マイナーキーのⅤ7はハーモニックマイナーのダイアトニックコードから持ってきたもの
2、じゃあ、そのⅤ7のコードの上では、ハーモニックマイナー系のスケールを使うべき(※もちろん他の方法論もある)
3、ハーモニックマイナーのⅤ7に、元々対応しているスケールはHmp5↓スケール
4、だけどよく見たらハーモニックマイナーのⅦ度のコードには、Ⅶdim7がある
5、Ⅶdim7のコードに対応するスケールは、オルタード♭♭7スケール
6、オルタード♭♭7スケールの中には、4音構成のdimスケールがすっぽり入ってる
7、ハーモニックマイナーのモードスケールは、それぞれ構成音自体は同じ
8、じゃあ、key=Amだとしたら、そこにA ハーモニックマイナーのモードを当てはめると、Aハーモニックマイナー=EHmp5↓=G♯オルタード♭♭7となるから、
G♯オルタード♭♭7内に収まってるG♯dimスケールは、Aハーモニックマイナー内にも、Ehmp5↓内にも収まってる事になる。
9、じゃあ、ハーモニックマイナーのダイアトニックコードから持ってきているマイナーキーのⅤ7上では、Ⅶdimスケール(key=Am ならG♯dimスケール)を使っても良いよね?
とこう言う事です。
長いなー。(苦笑)
なんだか音楽やってるはずなのに、ちょっと数学やってるみたいな感じになるのが、音楽理論の厄介なところな気がします。
さて、ちょっと今回、譜例まで行きたかったんですが、解説だけで非常に長くなったので、ここまでにしておきます。
これらの理屈を把握するのは結構大変だと思いますが、指板図やダイアトニックコード表を見ながら、じっくり繰り返し読んで頂ければと思います。
先ほどのチャートの内容を、ざっくり言ってしまえば、
マイナーキーの曲だと、本来基準スケールはナチュラルマイナーなんだけど、Ⅴ7のところだけハーモニックマイナーのコードを持ってきているから、そこはハーモニックマイナー系のスケールで弾こうよ。
(※そしてその中にⅦdimスケールも収まってるからそれも使えるよ)
と言う事ですね。
では、次回、dimスケールの指板上でのわかりやすいポジションの見方と、実際の練習譜例をやっていきましょう。
今回の解説だけではわかりにくかったかもしれませんが、フレーズとして使ってみれば、そこまで複雑な動きをするわけでもないので安心してください。
ありがとうございました。
大沼
※次回vol.61はこちら
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